老後の価値観とは何か
若い頃には、あまり物事を自分で真剣に考えることがなかった。
会社で勤め人をしていると価値観などはその職場環境などに縛られることが多かったような気がする。
特に、海外に駐在した連中は欧米子会社で天下国家を論じているが日本に赴任すれば、たいした職位ではないため「出る釘は打たれる」方式で潰される。
もともと、実力があれば別だが、気圧が低いため膨れ上がった連中が多かった。
価値観とは常に環境に影響されるような気がする。
例えば、一昔前の親は大学を出ていない世代だったためスポーツ選手でも大学だけは行かせたがった。
今日、大学の進学率が上がった現状では、大学教育より本人自身の目的意識などが新卒採用で重要になってきた。
勤め人から開放されると時間と空間は経済的余裕があれば無限に創造できると思っていた。
ところが経済的余裕とは何かと問われると煩悩の解消以外にないらしい。
実際に最貧状態でもない限り食うには困らないとしよう。
公務員の天下りが最も解りやすいが、自分で時間と空間を謳歌すればよいものを、年老いても飼い犬のように縛られるのが安心らしい。
政治家でも落選するまで石に噛り付いても辞めない輩がいる。
彼らは、一生煩悩の中に安住する方が安心らしい。
年老いて十分資産があると思われる人でも脱税したりお金儲けに時間を費やす輩がいる。
彼らは永久に生きるつもりらしい。
ある年老いた元野球監督の妻が脱税で捕まったりするのを聞くと考えさせられる。
またその監督もなぜ解任されたかを延々と子供のように問いただす。
滑稽なようだが「夫婦とも年を考えない価値観」で一致しているが、先人たちの教えは届いていない。
ビル・ゲーツやパフェト氏が何兆円もの自身の財産を福祉に提供することとの差は何かと問われる。
そこには、国家の根底にある文化や倫理観が作用するのではないか?
キリスト教を基盤とした「弱者への共感」という見えない価値観が存在するように思う。
新約聖書共観福音書の全てに取り上げられている例えで次の物語を思い出す。
キリストが弟子にして欲しいと頼む人に、
「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。
イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」
司葉子さんが夫婦でテレビ出演をしていて夫の相澤英之氏に「お金を沢山残してくれないなら今からでも少し準備しなければ」と話かけていた。持っている物が多いと維持するのも大変だと同情した。
その観点から言うと我輩の主人は幸せものかも知れない。
才能がないと悟っているため両手に持てる以上は願っても得られないと達観しているようだ。
煩悩からの解放は、凡人の方が容易らしい。
つまり、取るに足らない人のほうが幸せのような気がする。
ここで、本田哲郎神父・私訳の
心底貧しい人たちは、神からの力がある。
天の国はその人たちのものである。
という聖句が思い出される。
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