複写機各社と基幹システムの認識の違い
キヤノンは店頭販売のプリンタsateraシリーズから複合機・高速プリンタに関してもアプリケーションに依存しない形で最後の一枚まで完全に印刷可能である。基幹システムベンダー(旧のメインフレー)でもこの機能を実現していた。
複写機ベンダーのコントローラ担当執行役でもアプリケーションに非依存なサーバ主導のリカバリーの必要性を厳密に理解していない人が多い。
実際、キヤノンのシステム関連のミドルウェアやアプリケーション開発ツールなどは全てLIPS(キヤノンPDL)を印刷ファイルとして吐き出すため上流をキヤノンのソフトに抑えられれば他社のプリンタは導入できない。
また、一旦アプリケーションの開発が終われば、改めてプリンタ導入のために変更をかけることはない。
例えば、IBMのSystem i(AS400後継)最大のディラーは標準プリンタはキヤノンの複合機である。キヤノンのプリンタであればサーバ主導のリカバリーなどをサポートしているためSEがアプリケーションでリカバリーを意識する必要がない。
また、UNIX,LINUXで運用することやWindowsのGDI(ドライバー渡しの形式)の誤差を考慮すれば統一されたPDLで直接書いた方が運用管理し易い。
基幹系の専門知識のないベンダーはPSに変換して対応するなどと言うが、アルゴリズムが違う言語の変換は不可能であり仮に変換しても全てのアプリケーションからの印刷結果について評価する工数が発生する。つまり、上流を押さえられるとプリンタ側の対応は容易でない。
欧米はHPのPCLがデファクトスタンダードであるため全てのアプリケーションがPCLを印刷ファイルで吐き出す。日本のOEMプリンタベンダーが欧米対応でPCLエミュレーションが必須なことを考えれば容易に理解できる。上流システムに対する理解度が不足のベンダーは、オフィスの場合と基幹系を分けた発言をする人がほとんどである。端末がWEBやAjaxで開発されているためオフィスで基幹系システムを使用していることに気づいていない。つまり、ネットワークコンピューティングのシステムの一部という視点でプリンタ・複合機を捉えていない。IT環境に疎い会社は、愚かにもドキュメントセントリックという言葉を使用するが、情報産業界での環境は、IPセントリックという状況である。そして、基幹系・情報系が全てIPネットワークで結合されその上に複合機・プリンタなども取り込まれた。
サーバの切り口から過去の流れを見ると、1960年代に始まるIBM360システムのホスト集中からSNA(System Network Architecture)でネットワークに広がった。次にオープン化の流れでクラサバ・システムに移行しリッチ・クライアントが主流となったが、TCOの観点からCitrixのメタ・フレームやインフラのTCP/IP対応などでブラウザをフロント(シン・クライアント)とするネットワークシステムが主流になった。一方、ネットワークの流れでは、1980年代はホスト・セントリックであったものが、1990年からオープン・ネットワーキングに移りPC-LANによるダウンサイジングでルータ・ネットワーキングに移行した。更に、2000年以降インターネットの普及によりIPセントリックとなりWEBトランザクションでアプリケーションとの連携が緊密になった。今後は、更にネットワークの仮想化が進みつつある。
収縮する市場の中で、多くの複写機ベンダーがオフィスの複写機能しか使用しない顧客相手で生き残れるとは思えない。
断っておくが、私はキヤノン関係者ではない。
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