年金生活もままならない世の中
サラリーマン時代は、大手コンピュータ製造会社に勤務していたこともあり事業内容や事業領域の枠が決められていた。若手技術者として勤務していたころは、企業というものは計画通りに粛々と運営されているものと思っていた。歳を重ねるうちに、統括する立場になって思ったことは、情報産業とはいい加減なものだとということだ。
一般の業種に比較して技術革新が早いため、最新と思われた技術がすぐに陳腐化してしまう。今日のインターネット社会は、2000年以降のわずかな間に全世界に普及した。(正確にいえば1990年ころがOSIなど含め萌芽期であった。)古い記憶を蘇らしてみよう。サーバの切り口から過去の流れを見ると、1960年代に始まるIBM360システムのホスト集中からSNA(System Network Architecture)でネットワークに広がった。次にオープン化の流れでクラサバ・システムに移行しリッチ・クライアントが主流となったが、TCOの観点からCitrixのメタ・フレームやインフラのTCP/IP対応などでブラウザをフロント(シン・クライアント)とするネットワークシステムが主流になった。一方、ネットワークの流れでは、1980年代はホスト・セントリックであったものが、1990年からオープン・ネットワーキングに移りPC-LANによるダウンサイジングでルータ・ネットワーキングに移行した。更に、2000年以降インターネットの普及によりIPセントリックとなりWEBトランザクションでアプリケーションとの連携が緊密になった。そして、モバイルがネットワーク端末の主流となった。今後は、更にネットワークの仮想化が進みつつある。このように見てくると、主流となって残った技術は必ずしも素晴らしいものではなく、その時代で安価で普及したものだ。安価で機能があるものが常に生き残ってきた。要するに、無償で儲かるビジネスモデルを作った企業が生き残ってきたのが実情だ。この観点から言えば、Linuxベースのモバイル用オープンソース・オペレーティングシステムAndroid(アンドロイド)によってスマートフォンやタブレットPCなどの携帯情報端末が席巻されるのは時間の問題だ。事業領域を割り当てられた大企業など、この流れに付いて行くのは容易でない。半導体メモリ価格の下落でフィルムからCCD(デジカメ)にあっという間に移行したことは予想しずらかった。テレビもネットワークが安価に普及したため情報源としての役割は大幅に低下した。更に、古くからのコンピュータ製造会社(実情はアセンブリー)や事務機(コピー機など)製造会社などは事業環境が激変して非常に厳しいものがある。公務員と違い企業経営は、既存の事業領域の枠内で長期に生き残ることは容易でない。
ところで、人は生きていくために稼がねばならない。特段、やりたいことが無ければ楽して食えればいいと思う。公務員が天下りするのは、どこの市場でも不要な人材だからだろう。実際、経済活動を全くせずに老人になった人など一部の専門家以外は使いようがない。稼ぐ手段として、恥を偲んで退職後に嘱託で勤めたり、子会社に天下りして蛭のように会社の生血を吸いながら保身を図る人も多い。それが嫌ならサラリーマンを辞めた人は、起業するしかない。私事で恐縮するが、起業した途端に事業の選択と集中やキャッシュフローの重要性が身にしみる。サラリーマン時代は、耳にタコができるほど聞かされたが真剣に取り組んだ記憶がない。起業して資本家であり経営者の立場になると真剣さが違ってくる。そして、事業の選択と集中を最大限進め、換金性を含めた事業展開を考慮すればファイナンスが最も効率がよくリスクが少ない。少子化が進み老齢化社会が訪れた日本では、年金生活もままならない世の中になる。若者におんぶに抱っこに肩車的な考え方から早く自立すべきではないだろうか?
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