映画 赤線地帯
大映1956年制作、監督溝口健二の「赤線地帯」を見た。出演は、若尾文子、三益愛子、町田博子、京マチ子、木暮実千代、川上康子、進藤英太郎という面々で加東大介がチョイ役である。白黒映画だが、「役者がちがうなぁ」と感心した。最近の学芸会のような邦画に比べ生活する人の深層心理や社会問題に鋭く切り込んだ内容で考えさせられるものがある。警察は売春宿屋を赤線・青線地帯という形に地域を区切り、赤線は合法、青線は非合法としていた。実際は、赤線、青線は地図上に区切られた線の色といわれ、昔の赤道という公道同様に塗り分けた鉛筆の色で呼ばれたらしい。当時の赤線地帯にあった売春宿が現在のソープランドであり、名前を変えて合法的に存在している。ソープランドはトルコ政府からクレームがつくまでトルコ(風呂)と呼ばれていた。一方、青線はラブホテルや外国人売春が多い新宿歌舞伎町や町田駅裏などで現在も非合法な売春地域として残っている。ところで、映画の若尾文子は、声やしぐさは年を重ねた今と全く変わらないと思った。和服の似合う美人であり、役柄は気が強く世渡りにたけた女性を演じていた。大映は倒産して無くなってしまったが、現在の邦画より遥かに優れたできばえである。当時は、テレビが普及しておらず映画に最高のものが注ぎ込まれたからだろう。
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