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2012年5月25日 (金)

日本の株価は、なぜ上がらない?

1971年8月15日のニクソン・ショックで金と米ドルの兌換が停止され、各国の通貨は変動為替相場制に移行し、国の信用でレートが決まる状態になっている。
1989年12月29日、日経平均株価は史上最高値3万8957円44銭をつけ、その後、現在まで、凸凹があっても長い間、株価は下がり続けている。その間、1997年アジア通貨危機、1998年ロシア財政危機、そして1999年のユーロ発足、2001年エンロン破綻、2008年リーマン・ショックがあった。株価は、事件があるごとに反応して上下はするが一貫して下げ続けてきた。

バブル期に初めて住宅を取得した人たちは、物件が下がり続けるため売却してもローンを払えない状態で忸怩たる思いだったろう。また、高騰した土地値に見合った家を建て替えた人たちも、その後ローンに苦しんだ。高給取りになった人以外は、住宅ローンが生涯重く圧し掛かって来た人生だった。日本は、バブル経済崩壊以降、政策金利を下げ市場にお札をばら撒いて経済の建て直しを図ったが、いまだにデフレ状態から脱していない。そして、金為替本位制を放棄した米国を筆頭に世界中の国がお札を刷り続けて各国の危機に対応してきた。金と違い紙幣の印刷代金は安いため信用だけが購買価値を決める時代になっている。確かに、日本の累積国債発行残高は巨額というが米国の国債印刷量に比べれば大したことはない。政府と民間を連結させた日本の総合的な資産と負債の関係は、日本の民間の純資産額(日本の民間の資産額-日本の民間の負債額)から日本政府の純負債額(日本政府の負債額-日本政府の資産額)を引いてやれば、その実相が出てくる。その金額は2008年末で+225.5兆円、2011年末に+253兆円となり、21年連続で世界最大の債権国である。問題は多いが、一応お札に見合った資産があるため世界中の投資家が円を絶対的に信頼するらしい。
2008年リーマン・ショック以降は、米国が紙幣の印刷量を更に増やしたため、相対的に他国よりましだという理由で円高が一貫して続いている。当然、世界はアメリカ経済の傘下で活動しているためドルベースの視点で評価される。$1ドルが1990年¥150円だったものが、1998年¥140円、2008年¥110円、そして現在が¥80円となっている。ドルベースで見れば、実際の数値ほど株価は下げていない。1980年代前半、私の米国出張時の手当ては、サンノゼ・エルカミノ沿いのエッジウォ-ター(モーテル)だったが、1980年代後半はエンバシースイート(ホテル)に宿泊できた。そして、人・物・金・情報がインターネットにつながり一体とした世界経済の中に日本の株価も組み込まれドルベースの投資尺度で評価される時代になった。グローバルな経済競争のなかで、再評価された日本の勤労者(円ベース)所得は、円高の実態に合わせて少しづつ切り下がってくる。株価は先行性があるというから、今後円換算の株価は、日本崩壊が起きない限り、もうしばらく円高が続き中長期的に上がるはずはない。株式評論家の話は聞いていて楽しいが、短期的な動きではなく俯瞰の目で株価の動きを論評して頂きたいものだ。株価が上がらないことが解かっていても生活に支障があるので本音を言わないのだろうか?

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