不振にあえぐHPから読み取れること
プリンター事業の不振にあえぐHPがリストラを行う。米Hewlett-Packardは、2014年度(2013年11月~2014年1月)末までに、同社従業員の8%に当たる約2万7000人を削減する。リストラで捻出した資金は、同社が注力する3つの分野であるクラウド、ビッグデータ、セキュリティに投資する。以前、「デジタルに変わったことが起因した電機業界の淘汰」で、アナログからデジタルで「パナソニック、ソニー、シャープ」の凋落についてコメントした。参考まで
http://iwamiginzoh.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-0dc3.html
HPがプリンター事業の不振というとキヤノンを思い出す。なぜならHPが1980年代以降「HP-PCL」 (Printer Control Language)というデファクトスタンダード・プリンタ言語を武器に欧米のオフィス・プリンタ事業を寡占してきた。人間の言語でいえば、英語のようなものだ。日本以外のオフィス・プリンタ世界では、全てのコンピューター・アプリケーションは、「HP-PCL」の言語で印刷データを記述した。HPは、 言語 (Printer Control Language)の著作権を仕様化し、キヤノンのエンジンにコントローラを搭載して莫大な利益を得てきた。その、プリンタ事業が不振とは驚かされる。紙から電子データの流れで事業そのものが落ち込んできたのだろう。リーマンショック前に、2800億円の社債を発行して北米のプリンタ・チャネルを買収して失敗したリコーほどではないにしろ、紙から電子データの流れで事業領域の広いキヤノンも徐々に影響を受けるだろう。確かに、富士フィルムなど剰余金で富士ゼロックスや富山化学を買収したが、本体自身は液晶フィルムなど一部を除けば、自社技術での売り上げは少なく投資会社になってしまった。その結果、利益は出すが将来性に期待が持てないため株価は右肩下がりだ。キヤノンも剰余金で買収を繰り返し、事業領域は広くなったが、本来はプリンタ(複写機を含む)とカメラの入出力機器会社である。格付け会社の意図的な評価は無視しても、これから本業に陰りが見えてくることが原因で、株価の上昇は望めないかもしれない。「キヤノン・富士フィルム・リコー・コニカミノルタ」が、次の「パナソニック、ソニー、シャープ」と二重写しに見えるのは私だけだろうか?
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