愚かな日本の経営者
ウォーレン・エドワード・バフェット氏はアメリカの著名な投資家である。バフェット氏は長期投資を基本スタイルとし、長期間に渡って高い運用成績を残している。そして、IBMに多額の投資をしている。
日本のIT産業界の衰退は経営者の資質からくるものなのだろうか?
2000年代前半に、富士通に代表される日立・NECなど国産システムベンダーは事業主体をソフト・サービスにフォーカスするため印刷関連は電子媒体への投資に絞った。プリンタシステム事業を複写機ベンダーに売却した結果、時代の環境変化への適応が止まり、プリンティング事業の収縮が急速に起こった。国産ベンダーの経営者は、愚かにもソフト事業やPC事業がシステム構築においてプリンタシステムに依存していた事実を見逃していた。つまり、プリンタシステム構築の手の上で踊っていたソフト製品の多くは汎用的に売れる代物ではなかった。特に、富士通の経営者などは愚の極みで、全く付加価値のないPC事業やPC接続のプリンタを存続させ、基幹系のプリンタシステム・ソフト部門まで売却した。
一方、IBMの戦略は、高収益のソフト・サービス分野に経営資源を重点的に配分する目的で、ハードディスク駆動装置の日立への売却、PC事業の中国企業LENOBOへの売却など一貫していた。そして、IBMプリンタ部門のリコーへの売却も必然的なものであった。一方、グループウェアのLotus、システム管理事業のTivoli、開発管理のRational、PwC社のコンサルティング事業部門PwC Consulting(PwCC)、インターネット セキュリティ システムズ、SaaS(Software as a Service)を提供するウェブコミュニケーションサービスのプロバイダであるWebDialogs、サービス指向アーキテクチャ(SOA)アプライアンスを手掛ける米DataPowerなど多数のソフト・サービス部門の買収を行った。
ソフトウェアの柱としての製品群
・ DB2(データベース)
・ WebSphere(ミドルウェアソフト)買収も多数
・ Lotus(グループウェア)買収
・ Tivoli(システムの稼動管理)買収
・ Rational(開発アーキテクチェア)買収
IBMのソフト・サービス製品群はメインフレームから続くデータベース製品・ミドルウェアソフト以外の新規部門は、ほとんど他社からの買収事業である。ビジネス・ソリューションとしては、IBMと買収したPwCのコンサルティング部門の統合により世界最大級のコンサルティング集団がビジネスを展開している。以上IBMの戦略を見ると明らかに、ソフト・サービス指向の買収が相次いでおり、情報産業界の流れでもある。
レガシーサーバ(メインフレーム)などでもIBMと違い、富士通・日立は従来のCOBOL資産のマイナーチェンジで開発終了宣言したと言える。
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