リコーとキヤノンの基幹系ビジネス
1.リコーの基幹系ビジネス
リコーの基幹系ビジネスは、IBMから買収したプリンティング部門InfoPrint Solutions Companyが主力である。海外への取り組みは、基幹系印刷システムに関してInfoPrint Solutions Company経由であり、オフィスプリンタはHP-PCLエミュレーションを搭載したカット紙レーザプリンタをリコーが買収した複写機チャネルで販売している。
海外ではHP-PCLプリンタエミュレーションがデファクトスタンダードなため、IBMホスト連携ソフトを提供するベンダーは、PJLコマンド(HP プリンター・ジョブ言語)を使用しIBMホストからの印刷をHP-PCL印刷データに変換する形態が多い。(日本国内では価格の安い低速機はAFPデータをリコーPDL「RPCS」に変換して印刷する。)
実際に北米のカット紙市場でのVTAM(SNA:システム・ネットワーク・アーキテクチュア相当)印刷などはLRS社などのエミュレータ・ベンダーが主流(市場の50%)で割高な純正プリンタの販売は少ないためCFF(レーザ連続帳票印刷機)関連が主力となっている。
IBMサーバへのLAN Printerの形態として
・ iSeriesからの直接印刷(TELNET5250E接続)
・ iSeriesからの直接印刷(HPT印刷)
・OS/390からの直接印刷(IP PrintWay)
・ プリントサーバによるホスト印刷
と多数サポートされている。
直接印刷ではLPR印刷(ファイル転送)がほとんどのため従来のTwinax、Coax接続時と同等の信頼性はない。iSeriesからの直接印刷(TELNET5250E接続)以外はホスト印刷の信頼性が従来と同等ではなく基幹系印刷と呼ぶには相応しくない。
(TELNET5250E :TCP/IPで iSeriesからの直接印刷が可能で、iSeriesとプリンタ間での双方向通信が可能である。そのため、プリンタ状況/用紙切れなどのiSeries上での確認や、印刷スプールの万全な管理も可能になる。)
また、InfoPrint Solutions Company(旧IBM)は、印刷管理ソフトInfoPrint Managerによるプリンタ制御でページ単位での管理、印刷ジョブの監視、高度なジャム・リカバリーやログ管理を提供している。
2.キヤノンの基幹系ビジネス
キヤノンのレーザプリンタビジネスは基本的に海外はHPへのエンジンOEM販売である。基幹系プリンティングシステムの海外対応はキヤノン自身で取り組んではいないが、国内は積極的にLIPS(キヤノン独自のPDL)を搭載したプリンタや複合機をレガシー・オープン系ホストや電子帳票システムに連携させている。
キヤノンの基幹系印刷システムは以下の形態で対応している。
・SNA(IBM System Network Architecture),FNA(富士通Fujitsu Network Architecture)経由でホスト連携したオンライン印刷
・帳票のバッチ出力
メインフレーム上の印刷データをプリントサーバに送り加工して印刷する。
・ホストからのデータを電子帳票にして管理
自社開発の電子帳票システムで管理を行い、必要に応じてプリンタに印刷する。(国内ではシステムベンダーが多数提供しているが、キヤノン・富士通・JFEが大手である。)
①エミュレータ経由でオンライン出力
基幹系システムにおいては旧蝶理情報システムを買収した結果メインフレームからの印刷データを端末エミュレータでオンライン出力する製品を自社グループ製品で展開している。
また、従来はクライアント環境でプリンタセッションを確立してシリアルプリンタに出力していた印刷システムなども、クライアント環境に依存しない形態でサーバ上にセッションを確立し自社レーザプリンタで印刷する移行形態も提供している。
(例えば、ホストからのシリアルドットプリンタへのデータ・印刷指示はLU3またはLU1の形式で送出される。LP用紙印刷のアプリケーションで作成されたシリアルドットデータをカット紙印刷に移行する場合は、連続帳票形式のデータを論理的にカット紙形式のデータに変換する必要があり、ホストとプリンタのページ単位の同期制御がなければページ毎の信頼性が保証できない。SA:Set Attributeの修飾データなどページ内での書き換えデータが後から送出される形式もあるためLU3ではデータが完結しないと印刷起動がかからない。)
②帳票のバッチ出力
メインフレーム、UNIXサーバ、PCサーバの各ホストからftpなどファイル転送した帳票データを、出力デバイスに応じたデータストリームに変換して帳票出力する。(基本的にはLIPS変換)
一般にプリンタベンダーが容易に理解し易いホスト連携の形であるがトンザクションを伴うデータベース連携の運用ではない。
・富士ゼロックスプリンタからの移行オプションも提供
XEROXデータ(DJDE)をCANONデータ(LIPS)に変換し、メインフレーム側のXEROXデータを生成するしくみはそのままにして、XEROX社のプリントシステムからキヤノンのプリントシステムにスムーズに移行させる。
③電子帳票化して管理(富士通List Worksと同様なアプローチ)
メインフレームからのデータを電子帳票に加工して管理・印刷する。また、AS400オフコン系のスプールにある出力帳票データをHULFT(IBM server iSeries転送tool)などを使ってサーバへ転送し、フォームデータを付加・仕分け・電子帳票管理を行い必要に応じて印刷する。キヤノンの強みは、電子帳票の作成・管理ソフトを自社開発で提供するだけでなく印刷管理ソフトとも連携して印刷保証を行う。
④完全印刷保証機能
完全印刷保証とは、ジョブ単位の出力管理ではなく、サーバ主導の同期制御印刷でページ毎に完結した印刷保証を行う。
IBM SNA,富士通FNAなどでLU1,LU3(論理的な定義装置:LU1/LU3プリンタ・LU2ディスプレイ)で印刷する場合にはホストに完全同期したオンライン印刷が行われる。これ相当の印刷運用管理をオープンシステムで実現するためサーバ・プリンタ間に独自の双方向プロトコルとWindowsサーバ上にも管理ソフトを提供している。これにより印刷ページの引継ぎなどページ単位の管理を実現している。(富士通ではVSPプリントシステムによりWindows以外のLINUX、Solaris、ASPなど全ての富士通サーバOSからの印刷管理をサポートしている。)
富士通VSP(Virtual System Printer)プリンタと同様に基幹系システムに対応するキヤノン製品はジョブ単位ではなく1ページ毎に印刷を確認しながらサーバからプリンタに印刷データを送出するプロトコル(TCP/IP上のアプリケーション層で管理)で完全印刷保証を実現している。(キャノンの場合Windows版のみ)
⑤ディラー販売の移行支援
JBCCは、(以前は東芝の電算機を販売)IBM System iSeries (AS400の後継)の半数以上を販売するシステムベンダーである。
マイグレーションの事例は富士通、NEC、日立、東芝、ユニシス、IBMの汎用機・オフコンを主にIBM System iSeries に移行時させている。JBCCは、自社の電子帳票ソフトを使用し、印刷量を減らした安価なバッチ印刷でシステムを再構築する。(富士通やキヤノンの電子帳票ソフトは価格が高いので自社ソフトで対応)JBCCのIBM System iSeries への移行商談の印刷出力機はキヤノンの複合機がほとんどである。理由は、キャノン製複合機はIBM5250漢字エミュレーションに対応しているため、端末エミュレータソフトを使用しなくてもスプールキューから直接印刷が可能なためである。(IBM iSeriesで管理される印刷スプールをTCP/IPソケット通信で独自に拡張して対応)
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