映画「煙突の見える場所」
最近、上原謙と田中絹代が共演した映画「煙突の見える場所」を観る機会があった。このコンビは、戦前に撮られた映画「愛染かつら」でも共演している。愛染かつらは、あまり出来すぎたストーリだったため役者さんの印象は薄かった。この映画「煙突の見える場所」は、漫画「こち亀 両津勘吉」にも出てくる千住火力発電所の巨大な4本の煙突をモチーフにしている。この煙突は観る位置により1本から4本に見え付近住民などからは「お化け煙突」と呼ばれていた。作品は、この煙突と同じように、人の心情も心の立ち位置により、さまざまに見えることを言いたいのだろう。昨今の作品と違い、邦画の絶頂期の作品なのだろう、映画に刻まれた映像の1コマ1コマが、生き生きとしたスチール写真のようだ。戦後の混乱期、貧乏や生活の苦しみの中で生きている人の心の動きをしっかり捉えている。モノクロ映像だが、なぜか最近の技術を駆使しした映画より遥かに鮮明で印象的だ。そして、同時代のイタリア映画のように非常に心に残る作品の一つである。ところで、我われの時代の者には、主演の上原謙といえば、加山雄三の父というほうが親しみがある。
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