安全第一なら、市場を俯瞰することだ
先週末、2007年10月以来の1ドル116円20銭の円安・ドル高となった。円は週間ベースで4週続落している。日本銀行による10月31日の追加緩和決定から、最近は消費増税の引き上げ延期も円の押し下げ要因となっている。みずほフィナンシャルグループの米為替セールス責任者は「クリスマスが近づく中、小売売上高の数字は明るさが増してきている」とし、「依然として、ドルは対円で上値余地がある」と予想する。 また、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが14日公表したリポートによると、12日までの1週間に日本株式ファンドから世界全体で38億ドルが流出したという。消費増税先送りへの期待から、日経平均株価指数は約7年ぶりの高値を更新しているが、資金は日本から流出していた。株価は上がるが、資金は日本ファンドから流出している。流出の理由はわからないが、ポートフォリオで日本株投資枠を超えた部分を売却しているのだろう。佐々木融氏は、日銀が円を印刷するという行為は、貸借対照表の負債側(左側)を増やしていることだ。その発行したお札で、日銀は資産側(右側)に価値が毀損しやすい質の悪い資産を購入する。つまり、貸借対照表の右側に記載された資産部分が毀損すれば、負債側にある円通貨の価値が下がる。通貨の数値は同じでも資産価値が下がるということは、様々な物に対する実質的な貨幣価値を下げることになる。今回の金融緩和で、インフレ傾向になり物価が上昇することは間違いない。そして、為替市場は円安が進む。日銀が発表した追加緩和が2016年まで続くと想定すれば、銀行のバランスシート上にある日本の国債2兆5000億ドルの約58%が日銀に吸収される。その見返りとして、銀行は膨らんだキャッシュの新たな使い道を探し出す必要に迫られる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、売却した日本国債の資金を海外資産に振り向けるという。しかし、海外での貸し出し需要がなければ、銀行は国内融資でリターンを追求する必要がある。企業の資金需要がなければ、銀行は株式と不動産へ貸し出しを増やすしかない。その結果、資産価格の急騰に支えられた貸し出し資金は、バブル崩壊時、銀行に多くの不良債権を発生させる。佐々木氏が指摘する毀損しやすい質の悪い資産のことだろう。今、現状を纏めると①日本株は上がっているが、海外の短期筋資金の流入で、長期的な資金(日本ファンドから)は流出している。②1ドル120円くらいまで、円安はこれからも続く。③景気が上向かなければ、企業に資金需要がないため、溢れた資金は株や不動産へ流れる。
こういう状況下で、愚生のような貧乏人は、どうすればいいのだろうか?日本政府の方針は、「円安」「株高(日経225指数のETF購入)」「インフレ(国内不動産REIT購入)」という。素直に考えれば、日本円は米ドル通貨に替え、円資金は押し目で東証1321(日経平均指数のREIT)あたりを拾うことだろう。愚生は、銀行株は配当が良いと思い買っていたが、長期的には危険なようだ。個別銘柄は極力慎むべきだ。そして、田舎者の愚生は、都会と違い田舎の土地には実需がないことを知っている。少子高齢化が進む日本では、不動産の換金性は悪くなり、資産価値の毀損は激しいとみている。そのため、政府方針に逆らうが、日本国内の不動産投資より円安効果のリターンもある米国REITへの投資だと思う。愚生の失敗は、いつも短期的な目で市場を捉えてきたことだ。安全第一なら、市場を俯瞰することだと思う。
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