今の日本株はバブル
豊島逸夫氏のコラムに、日本株高騰について一味違った見解があった。日経平均株価が上がると異口同音に「日米株のデカップリング」が語られ、米国株が上昇すれば「好材料」とみて素直に日本株も買われる。相場が上値を試するときは、後付けでこのような解釈がいつもある。国際的な経験を持つ豊島氏は、欧米勢は1万9000円を超えた水準から新規の買いを本格的に狙うほど日本株に入れ込んではいないという。「マクロ経済データが上下に振れるとき、市場トレンドを決めるのはポジションだ」とプロの間では、いわれるそうだ。つまり、投機筋のポジションの状態で、売買の流れが決まるという。今回の株高では、欧米の短期マネーも長期マネーも、日経平均1万9000円超えをにらむ買いポジションは少ない。彼らの株式運用の中心は、米国株と欧州株のため、日本株の優先順位は低く新興国扱いだ。1万9000円を超えた水準から新規の買いを本格的に狙うほど、入れ込んではいない。海外マネーは、安倍首相の第3の矢の結果が明らかになれば、日本株に本格的に参戦するという。1万9000円から2万円への道は、日本人が買わなければ達成できない。そういわれれば、金曜日の日経平均の上げは、ファナックに尽きる。投資ファンドのサード・ポイントがファナック株を取得し、同社に自社株買いなどを求める報道が流れた。そのサード・ポイントの買いで、1株2万円くらいまで上がっていたものが、一気に2万3000円に上がり、それに伴い空売りが大幅に増えた。売り残が、買い残を大きく上回る状態だった。空売りは、損失が青天井のため勇気がいる。要するに、株が確実に下がると思うから、このような状態が起きる。ところが、ファナック稲葉社長が、株主と対話する窓口部署を組織に設けるとの情報が伝わると、株価がいっきに上昇し、空売りしていた投資家が踏み上げられ、大幅な株高となった。「市場トレンドを決めるのはポジションだ」との見解は、説得力がある。日経平均の上げは、このファナックの異常な上げから、パニックが起きて、1万9000円をあっさりと越えた。愚生と言えば、数日前に僅かな利益を得て、ファナック株を売却したばかりだった。かえすがえすも、残念でたまらない。負けない投資を掲げる愚生には、儲けるチャンスは少ないようだ。ただ、ファナックの株はここひと月程度で、7000円近く上げた。何も変わらないのに、時価総額で1兆4000億円も増えたことになる。冷静に考えれば、今の日本株はバブルのような気がする。少し距離を置いた方がよさそうだ。そう考えると、欧米勢のように金利上昇過程の米国株を売却し、為替ヘッジを付けて欧州株を買う流れに乗ったほうがいいような気がする。為替ヘッジでのユーロ売りが原因なのだろうか、先週はユーロ安が続いていた。
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