NEC株価を下回るまで長期的な下げ
5月1日の日経平均株価は、前日の19,520円の大幅安から、11円高の19,531と値を少し戻して引けた。今日の波乱要因は、富士通だった。今期の連結業績で最終利益を28%減と、業績予想したことが売り材料となり株価が急落した。一時は、前日比19%安の643円20銭とストップ安まで売られ、3カ月ぶりの安値を付けた。2016年3月期の見通しも3割減益というから、株式市場でIT需要拡大による成長期待が急速にしぼんだ。事前予想は、東京五輪に向けたIT需要の拡大で、今期の営業利益は2100億円程度と予想されていた。そのせいもあって、反動で投資家の失望売りが加速した。欧州のパソコン事業は、部品を主にドル建てで調達し、収益がユーロ建てとなるしくみだのため、ユーロ安・ドル高で採算が悪化するという。その結果、パソコンを含む「ユビキタスソリューション事業」の営業損益はゼロ(前期は87億円の黒字)となる見通しだ。マイナンバー制度で、主力の国内ITサービスは企業や官公庁向けが順調に伸びると予想されていただけに意外な結果だ。愚生は、富士通決算予想に驚かない。なぜ、損益がよいのか不思議なくらいだと思っていた。富士通社長の山本氏は、昨年、苦しくとも携帯電話やパソコン事業を続けると日経紙面で言っていたので、この結果は予想した。だいたい、ユビキタスソリューション事業の営業利益はゼロというのは、真っ赤な嘘だろう。本来、店頭で売られるべくパソコンやプリンタがシステムにも組み込まれて販売されている。そういう部分の損益を除けば、真っ赤っか空の雲だろう。だいたい、ソフトサービスで、収益を伸ばすしか選択がない富士通が、パソコンや携帯・スマホなど、いつまで作っているのだと言いたい。富士通社長は、パソコン・携帯事業の経験しかない。要するに、コンピューターやシステムなるものは、耳学問程度でしか知らない。パソコン・携帯事業のようなアセンブリー製品は、部品代と経費の積み上げだ。マイクロソフト・アップル・グーグルの手のひらで踊らされる世界だ。付加価値なるものなど全くない。システムベンダーのIBMや日立などは、いち早く撤退した。シーメンスからITサーバを引き受けたり、東芝から携帯事業を買ったりなど、真っ当な経営者ならするはずもない。富士通社長は、自分の出身母体の事業は、さすがにリストラができなかったようだ。所詮、社長の器でなかった。パソコン事業やniftyの売却を遂行していた野副・富士通元社長を、ドタバタ劇で退任させたことが尾を引いている。思いきって、パソコン・携帯事業からの撤退を含む構造改革をしなければ、株価の下落は止まらないだろう。少なくとも、構造改革の終わったNECの株価402円を下回るまで、長期的な下げは止まらない気がする。株価は、空売りで押しつぶされそうだ。
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