小津安二郎の映画「秋日和」と似ている。
還暦を過ぎたことから、学生時代の仲間が集まることが多くなった。勤め人をしていても再雇用だったりするため、出世欲など伴わない世界だ。自然と勤め先に遠慮することもないせいか、出席率が良くなる。見栄っ張りな美学で早期退職を選択した愚生も、安心して街をぶらぶらできる。近所の目を気にして、昼間から激安スーパーに行くことも憚られることもなくなった。人は歳を重ねると、その人の生きざまが顔に刷り込まれる。友人からもらった集合写真を見ても、すぐに誰とは判別がつかないことが多い。名前を教えてもらって、改めて注意深く見れば40年前の面影が僅かに残っている。40年の年月は、当時の先輩後輩といった年齢差を包み隠してしまう。愚生は、写真写りが比較的若いせいか、人より苦労の少ない人生だったのか思ってしまう。人並み以上の努力をしたと自負していたが、感謝しなければいけないのかもしれない。学友と話す内容といえは、昔の時空を共にした思い出話が多い。小津安二郎の映画「秋日和」で、佐分利信、中村伸郎、北竜二の三人が、今は未亡人となった原節子への若い頃の思い語るシーンと似ている。当時と違い、熱いときめきは起こらない。しかし、青くさい匂いを嗅ぐのは楽しい。そして、当時を思いだすだけが、一番いいのかもしれない。40年という人生が、大きく外見を変えていると、懐かしい淡い思い出が消えてしまうからだ。
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