挫折は早いほうが良い
新約聖書ローマ人への手紙の第5章3節に、「それだけではなく、患難をも喜んでいる。なぜなら、患難は忍耐を生み出し、忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出すことを、知っているからである。そして、希望は失望に終ることはない。」という箇所がある。ローマ人への手紙は、聖パウロが伝道旅行の終りに、コリントから次に訪ねる予定のローマ教会に宛てに書いた手紙だ。聖書解釈から離れても、人生を振り返れば「目から鱗が落ちる」と言い当てる場合が多い。どんな人だろうと、挫折を味あわないで人生を終えることはないだろう。痛みは、慣れによって癒されると同様に、艱難は忍耐を生み出す。そして、人は耐え忍び解放に向かって努力する。結果が全て上手くいくことはないだろうが、信じて将来に向かって進むしかない。ただ、挫折を味あうことは、早いほうが対処はしやすい。中高生なら、将来の自分の職業を選ぶ時間がある。大学生なら、再入学や転科によって、多少遅れても可能だ。就職してから自分のキャリアを変えるには、相当の覚悟がいる。特に、自分が大学までで培ったキャリアを全て捨てて、新たに学ぶ場合は多くの時間が無駄になる。それでも、自分の可能性に賭けて人生を歩むことはいいが、挫折した場合の自己崩壊感は大きい。人は、常に自分の立ち位置を基準に物事を判断することが多い。客観的に自分を見つめるときは、挫折を味わってからの方が多い。そう思うと、スタートが恵まれていることは、必ずしも良いことばかりではないようだ。
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