日本生まれの新しい抗がん剤
勤め人を辞めたことで、仕事で親交のあった人との音信もほとんど途絶えた。つくづく、利害関係のみの関係だったことを思い知らされる。人生を振り返ってみると、人は気にかけている物事に注目することが多い。愚生の場合は、最初に住んだ川崎市宮前区の丘陵に建てられた団地、田園都市線沿線の青葉区マンション、そして終の棲家となるだろう今の自宅など。田舎者の愚生にとって、裸一貫で都会に働きに出て、住家を持つことは大変だった。住宅を売買するたびに、借金の額が大きくなった。愚生の時代は、年ごとに昇給はあった。それでも、住宅ローンを返済するために働いているかと思うことまであった。そのせいか、住宅ローンの残債があった頃は、周りの地価や住宅価格がやたらと気になった。昨今、REITや株式投資などすると、どうしても投資先の企業や物件が気になる。さすがに、愚生が勤務したF社の株は、社内事情を知り過ぎていることもあって、長く保持したことはない。F社の欠点が見えすぎて、怖くてしょうがないからだ。ただ、企業年金をF社から頂いている関係上、企業業績は常に気になるし、頑張って頂きたい。電機業界は、直接・間接的に内容をよく知っているせいもあって長期投資したことがない。近々では先月、専門外のバイオ株を持ったことで、愚生がこれまで全く縁のなかった業界を知ることになった。為替や外部環境の影響が少ないと思い、財務諸表とアナリストの評価基準を参考にして投資した。株を取得後、その企業が得意とする癌治療薬と最近の医療実態についてについて知ることになった。本来なら投資する前に知っているべきなのだろうが、自分のお金を投入すると、俄然真剣味が沸くようだ。投資した企業は「がん免疫療法」という日本生まれの新しい抗がん剤を開発した。この免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞が癌細胞を攻撃する力を助ける。癌細胞を自分の免疫で抑え込むため、人体に副作用が少ないという。従来の抗癌薬は、癌細胞に毒を盛るような方法のため、正常な細胞も大きく損傷する。米国での治験では、非小細胞肺がん、前立腺がん、大腸がん、腎細胞がんなどの固形がん、および悪性黒色腫を対象に投与する試験が実施され、いずれも有効例が認められたという。もちろん、素人の付け焼刃な知識でしかないが、新しいことを知ると世の中が広くなった気がして爽快だ。参考:文藝春秋5月号から
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