サッカー施設の高い障壁を各チームに強要
Jリーグは、来季のJ1とJ2の参加資格となるクラブライセンスの判定結果を発表した。何時も苦々しく思うのは、この村社会組織の日本サッカー協会が公益財団法人だからだ。公益法人は、営利団体でなく公益を目的とするため、条件を満たせば税法上の優遇処置を受ける。その公益ではるはずの団体は、自分ではお金を一銭も出さないくせに、クラブライセンスと称して各チームを強権的に統括している。日本サッカー協会が、サッカー施設の拡充という名目で高い障壁を各チームに強要しているからだ。そもそも、地域密着型チームを目指すという主旨で、企業名を排した組織名となっている。ところが、J所属の各チームには、スタジアム要件を押し付ける。Jリーグ所属のサッカーチームは、ほとんど自治体の競技場を借りて使用している。要するに、日本サッカー協会は、サッカークラブにスタジアム基準を押し付けはするが、それに見合った競技場にする改修費用は自治体の負担となる。言い換えれば、その地域のサッカーとは無縁な人々を含めた住民負担だ。サッカーの普及という美辞だが、日本のサッカー選手のレベルが上がっているとは思えない。そもそも、箱物を充実したからといって強くなるはずもない。チームが強いとファンがたくさん押し寄せて、競技場を拡張することになる。弱いチームに、大きな競技場で無理に試合をさせても、閑古鳥が鳴くだけだ。今回のライセンス判定で、今季J2のうち、J1ライセンスを持たない水戸、町田、讃岐は成績要件を満たしてもJ1に昇格できない。一方、J1ライセンスを持っているがJ3で試合をする、栃木、富山、大分などは、閑古鳥が「アホー・アホー」と泣く競技場で試合をしている。
参考・・・
サッカーダイジェスト2012年2月7日号「セルジオ越後の天国と地獄」で、セルジオ越後は「J1は1万5000人以上、J2は1万人以上のキャパがないと、試合を開催できないんだ。その規定は本当に必要なのかな。J2の試合を見に来るサポーターが1万人以上いるなら、もちろんスタジアムを拡張したほうがいい。でも、1万人以上の観客を集めるクラブは、わずかだよね。つまり、わざわざ空席を作るために、行政に負担をかけてスタジアムを拡張しているんだ。身の丈にあったスタジアムでやればいいのに、どうしてこういうことが起こるのだろう。」 海外の事例では、イングランド・プレミアリーグ2010-11シーズン、ブラックプールのホームスタジアムの当時のキャパは9650人だった。オランダ・エールディビジの2011-12シーズンはヘラクレス(8500人)、VVV(8000人)、RKC(7508人)、エクセルシオール(3531人)とキャパ1万人以下のクラブが18チーム中4チームを占める。スタジアム平均収容率が95%を超えるクラブも少なくないイングランドやオランダでも小クラブに対してこの対応である。まだまだサッカーが文化として根付いているとは言いがたい日本。Jリーグの対応はやや理想の押し付けがましい部分がある感は否めない。
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