
愚生の知人に、親から田舎の広い土地を譲り受けた人がいる。団塊の世代だったせいで、
田舎を出て県外に就職した。当然、核家族化して、愚生と同様に別の地域に住居を構えた。歳を重ねてから、住処を変えることは勇気がいる。住めば都で、住み慣れた地域が一番良いのだろう。ところが、
田舎で受け継いだ土地は、固定資産税がかかる上に売却も容易でない。結局、アパート経営をすることにしたそうだ。還暦過ぎてから、25年ローンなど、愚生には理解できない。金利が安いといっても、少子高齢化で実需がないから安いだけだ。後継ぎと期待した息子にも、負債の親子リレーなど断られたという。時間を持て余す愚生は、興味本位で簡単なシュミレーションをしてみた。F社勤務時代の友人で、親の相続でアパートを建てた人がいる。彼は、12室程度の三階建ての物件だった。住宅メーカーの家賃保証がある場合、建坪は割高になる。予め保証料が建築費に含まれるからだ。 20坪で、12室なら延べ坪数が240坪だ。高めのRC構造建坪90万円とすれば、二億一千六百万円となる。古い家の取り壊し費や外構を含めれば、約二億三千万円。消費税を含めれば、二億五千万円にも上る。25年ローンなら、年平均で1000万円の元本の返済が必用だ。金利が安いことを考慮しても、年に1200万円程度の家賃が必用だ。10年借り上げの家賃保証なら、10年目の負債残金は三分の一以上は残っているだろう。残金は、約一億八千万円だ。10年落ちのアパートの利回りを計算すると、経済状況が同じなら非常にうまく運営されたと仮定しても、新築だった時の家賃が1200万円程度だろう。そう考えると、田舎の不動産には、表面利回りが10%程度求められる。とすれば、物件価値は一億二千万円程度の評価額にしかならない。土地建物を合わせた評価が、既に債務より小さい。要するに、債務超過で売却することもできない。愚生のF社時代の友人も、同じ状況下で愚痴っていたのを思い出す。勿論、バブル崩壊後とは状況は違うが、都内ならまだしも、田舎では少子高齢化で空室も発生して運用は難しい。住宅メーカーも銀行も、重々理解していながら、金を貸し付けて住宅を建てさせる。まるで詐欺に近い。10年間の家賃保証のため、最低でも60%の稼働とみて建築費を五千万円程度水増ししている。その10年間の借り上げ債権を、1200万円×10年-5000万円=7000万円で子会社の賃貸会社に売却するのだろう。そうすれば、住宅メーカーは、貸借対照表が傷まない単年度売り上げで決算できる。次に、銀行は団体信用保証会社に丸投げするから、焦げ付いても問題はない。一方、団体信用保証会社は、10年間は融資が焦げ付かないため、10年後の資産評定をする。借主が、他に収入がなければ、担保物件で埋め合わせるしかない。債務一億八千万円-評価額一億二千万円と甘めに査定しても、六千万円が不足だ。銀行は、それに見合う他の不動産や現金を要求する。土地建物の評価額は、70%程度でしか見ないだろうから、現金が2000万円程度しか用意できなければ、路線価格で六千万円相当の不動産担保物件が必用だ。このように考察すれば、年金生活に入ってからの借金は破綻を招くことは、明々白々だ。
はっきり言って、郵便局が販売してい「しあわせ定期便」と同様に巧妙な詐欺に近い。
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