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2016年10月29日 (土)

自分の身の丈にあった老後の余生

Sh17820513t  土地活用と称して、住宅メーカーはアパートやマンション建設を勧める。資金調達・建築・管理・入居者募集・借り上げなどを一括して提供する。住宅メーカーだから、住宅を建てることが目的だ。そして、関連会社に建設会社や不動産会社も持ちグループで一括支援するという体制をとる。勿論、うまく運用されている事案もあるだろうが、中には必ず破綻した案件はある。それは、投資経験のない素人には、いったい何がリスクなのか判別できないからだ。潤沢なキャシュを持っていて、アパートやマンション建設すれば、破たんなどありえない。しかし、潤沢なキャシュがあるなら換金性の良い金融商品に直接投資する。なにも不動産に替えて、流動性を失くすことはない。不動産が好きでキャシュがあれば、為替差損がない国内REITなどに投資すればよい。一般に、アパートやマンション建設を勧められる人達は、土地は持つがキャシュがないため、金融機関から金を借りて運用する。そのため、投資物件からの収益と借金の返済計画が折り合わなければ破綻する。よく住宅メーカーの売り文句に、経営については30年の家賃保証があり収益の心配はいらないと吹聴する。資金調達の金利はともかく、事業計画書での年間家賃収入が35年間も同じことなど絶対にありえない。そもそも、20年、30年先に家賃がどうなるのかなどの予測は不可能だ。ましてや、還暦過ぎてから親の土地を相続した人は、完済までは生きていない。当然、ローンを子供に引継がせることになる。子供といっても、世帯を構えて妻子があれば、親の道楽のために連帯保証人などには、絶対にならないだろう。ところで、家賃保証制度という場合、一般的に一括借り上げするサブリースのことだ。サブリース(sub lease)とは、又貸しや転貸という意味だ。不動産サブリース事業とは、アパートやマンション、商業施設などを借り上げて、それを転貸する事業を意味する言葉として使われる。住宅メーカーは、建物の建築と一括借り上げ契約をセットにして、家賃収入を安定させて顧客を誘う。サブリース被害の典型例は、地主さんに対し「アパートを建てませんか」「30年の借り上げ保証がありますから、安心ですよ」「オーナーは通帳を見ているだけで、何もしなくて良い」などといって、アパート建築を勧める。30年間賃料が変わらない、あるいは右肩上がりに上昇するような事業計画書を示す。大手住宅メーカーだから大丈夫だと契約して、アパートを建てる。そもそも、建物が老朽化すれば、新築物件と比べて競争力が落ちて家賃は下がるのが自然だ。サブリース契約の被害が多いのは、業者が30年間も借り上げてくれ、賃料保証がされるため、投資家がリスク管理に目が向かなくなるからだ。しかし、アパートが竣工して賃貸が始まって数年してから、「家賃を下げてもらいたい」「このままではやっていけない」という交渉がされる。酷い例では、契約の解除をちらつかせて賃料の減額を求めてくる。サブリース被害の問題は、アパートの竣工から何年もしないと騙されたと気付かない。被害に気づいた時は、銀行返済のお金がサブリース業者から支払われる賃料頼みになっている。そのため、サブリース業者のいいなりになるしかない。つまり、契約を解除されたら、支払いが出来なくなり破綻する。そのため、強引な賃料の減額要求にも応じるしかなくなる。愚生宅にも、マンション投資の電話がよく入ってくる。「絶対に儲かります」というと、何時もそんな儲かるなら自分でやれば良いと言い返す。うさん臭い話を聞かないようにしている。もちろん、アパートやマンション建設、サブリースがすべて悪いわけではない。要は、自分で事業計画を十分に吟味できるかどうかだろう。住宅メーカーの目的は、アパートやマンションを建築させて、全体の建築費から粗利益を30%~40%程度持っていくことだ。その後の事業リスクは、建築主とお金を貸した銀行に押し付ける。銀行は、リスクを金融保証会社に押し付けて濡れ手に粟で儲ける。ところで、途中で不安になり、工事請負契約を自己都合で解除する時の違約金トラブルは多い。せっかく老後資金として、爪に火を灯すように貯めたお金を、土地活用と欲張って損をすることがないように注意すべきだ。固定資産税の支払いが大変なら土地を売却して、そのお金で美味い物を食べたほうが良い。売却しようとしても売れない土地なら、少子高齢化でアパート建設など以てのほかだ。これまで生きてきた世間で、自分の身の丈にあった老後の過ごし方が一番よい余生だろう。

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