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2016年11月 1日 (火)

換金リスクを伴う「負動産」

E0108233_2332522  昨日、テレビの昼のワイドショー番組で、田園調布にある高級住宅街の空家問題を扱っていた。老朽化して住めなくなった家ではない。庭付き一戸建て住宅街に、雨戸を閉め切った空き家がいくつもある。子どもたちが独立後、残された裕福な親世代が介護や医療施設へ移ってしまった後だ。ただ、田園調布などは特別だろう。横浜北部の丘陵を走る田園都市線も、土地価格の下落や空き家が目立っている。この地域は、団塊の世代でも比較的に裕福な層が住んだ人気の場所だった。丘陵を切り開いて造成したため、老人には坂が多く住みにくい。巣立った子どもたちは、郊外を嫌って職場に近い都心のマンション住まいを選ぶ。夫婦共働きは珍しくない。子どもがいれば、郊外に住んでいれば通勤に時間をとられてしまう。そう考える若い世代は、親が亡くなっても郊外の実家などに住まない。売り払ったり貸したりできるならいいが、そでができないなら固定資産税が重荷になる。そうなると相続資産というより、新たな負債を背負うことになる。愚生は、F社に入社した昭和50年頃は、田園都市線の市ヶ尾駅に近い会社の寮にいた。川崎市中原区にあるF社までは遠くはない。しかし、残業が毎月100時間近くにもなると、寮に帰ってもほとんど寝るだけの生活になる。田舎出身の愚生には、踏切が一つもない人工的な田園都市線沿線は、高根の花の地域だった。先のテレビ番組を見た後、土地勘のあった市ヶ尾駅、藤が丘駅、青葉台駅(いずれも横浜市青葉区)周辺の土地価格を調べれば、ずいぶん安くなったと感じる。すすき野駅近辺(町田市)など、当時のブランドが剥げ落ちてしまったような下落だ。ところで、一戸建てや人気地域の住宅に手が届かない層は、千葉の西部や埼玉の南部にマイホームを取得した。そのあたりは、そろそろ築50年を超える団地が多くなってきた。建物の老朽化とともに居住者も高齢化し、空き室が増えている。いま、首都圏に居住している65歳以上の高齢者は約810万人と言われる。そのうちの約230万人が団塊の世代だ。彼らは、高度成長にともなって地方から首都圏に出て、郊外に一戸建てや分譲マンションを取得した。リタイア後は旅行やグルメを楽しむはずだった。ところが、今も非正規雇用の職員として働いている人も多い。そして、寂しく高齢者用の介護や医療施設に移ることを待つ身だ。一方、愚生も投資したことのある新潟県南魚沼郡湯沢町は、越後湯沢駅のホームから、林立するリゾートマンション群が見える。バブルの絶頂期、スキー場に近くて温泉プール付きのこれらの物件は投資用としても人気を集め、数千万円で取引された。それがいまの売値は数十万円だ。今は、その価格でも売れない物件が多い。バブルの終焉とともにスキー人口は縮小し、温泉街は寂れ、商店街はシャッター通りと化した。リゾートマンションの問題は維持管理費だ。毎年の固定資産税に加え、毎月管理費や修繕積立金などの共益費がかかる。ほとんどが滞納されたままだという。そうなれば、たとえ10円でマンションを落札しても、数百万円単位に膨らんだ滞納共益費の負債を落札者が負担しなければならない。越後湯沢のリゾートマンションのオーナーは、一旦購入したら最後まで、トランプの婆抜きのように、誰かに転売しない限り毎年発生する諸費用から逃れることができない。不動産とは、換金リスクを伴う資産だが、これは「負動産」と呼ぶにふさわしい。首都圏の郊外型マンション(団地)や郊外の一戸建住宅が越後湯沢のようにゴーストタウン化するのは明らかだ。街の活力は失われ、犯罪が起きやすくなる。人口減で自治体の運営も厳しさを増すだろう。そして、さらに資産価値は無くなっていく。これからは、不動産の空家率が上昇していく反面、賃貸の需要が絶えない地域、再販価値や収益が落ちない物件は少なくなる。そういえば、愚生の友人は、首都圏の郊外に団地やワンルームマンションを持っていると自慢していた。彼は、還暦過ぎた今も非正規職員として働いている。やはり、「負動産」の管理費や修繕積立金などの共益費を捻出しているのだろうか。また、田舎に借金して負動産のアパートを建てるという痴人は、大丈夫なのかと不安になる。

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