愚生にとっては大切な思い出
今朝の日経新聞電子版に、ソフトバンクグループがサウジアラビアの政府系ファンドと共同で設立する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」へ、アップルは約1150億円の出資をするという記事があった。この投資ファンドは、テクノロジー分野などに投資するそうだ。そういえば、孫正義社長は、先日、トランプ次期米大統領と「トランプタワー」で約45分会談した。総額500億ドルを、米国で情報技術分野を中心に新興企業に投資し、5万人の雇用を生み出すと発表していた。実際に、約束通り実行されるかどうかは知らないが、愚生の考えが及ぶ範囲ではない。素直に孫氏を尊敬するしかない。可能性は何時も無限にあるのだから、環境が云々という言い訳はきかない。やはり、先見性が最も重要な要素だとつくづく思う。たいした足跡も残せなかった愚生だが、思い返せばいくつかの岐路での決断で、サラリーマン人生を乗り切った。愚生が管理職試験に受かって、課長職に就いた1990年頃は、情報産業に大きなうねりが押し寄せていた。IBM が1974年に開発したコンピュータ・ネットワーク・アーキテクチャ「Systems Network
Architecture ( SNA )」 は、政府、自治体、銀行、金融機関のトランザクションネットワークなどに広く使われ、企業向けの大規模ネットワークでは事実上の標準だった。ただし、SNA ネットワークは、今普及しているTCP/IP
ネットワークと比較して非常に高価なものだった。富士通は、IBMを踏襲して「Fujitsu
Network Architecture ( FNA )」を構築した。日立は、HNAと呼んで同様な対応をしていた。その後、ネットワークの普及で、通信の考え方を国際標準化する必要が出てきた。その為、ISO(国際標準化機構: International Organization for Standardization)により、1983年にOSI参照モデル(Open Systems Interconnection reference model)が制定された。これは、IBMのSNAを参考にして、ネットワークを階層化して定義したものだった。ただし、IBMとは細部は異なる。異種間ネットワークの結合には、OSI準拠が必須だったため、富士通の通信機器もOSI対応に取り組んだ。ところが、インターネットの普及でネットワークは瞬く間に安価なTCP/IPに移行してしまった。こうなると、TCP/IPというネットワークプロトコル伝送路を使用しないで、独自に構築するなど考えられない。TCP/IPを鉄道の線路と考えれば解りやすい。新幹線を走らすのに、新たに制御機器、線路の敷設を地球規模ですることと同じだ。当然、FNAを世界標準基盤になったTCP/IP伝送路に流すことが必須になってくる。特に、トランザクションネットワークなどでは、ホスト側アプリケーションに変更が伴うなら普及はしない。そして、オフィス機器のネットワークの伝送路との共用も求められる。なぜなら、印刷機器などホスト専用、オフィス専用、UNIXマシン専用などと設置すると、無駄が多いためだ。当時、廃れ行くレガシー・ネットワーク機器の担当課長だった愚生には、将来の展望など望めなかった。マイクロソフトは、自社のLANを捨てて、新OSのWindows3.51NTにTCP/IPを標準搭載してきた。ビル・ゲイツは先を読む感性が素晴らしいと感心させられた。愚生も、このままではサラリーマン人生を座して死を待つしかない。それならと、すべてのネットワーク機器をTCP/IPプロトコル上に乗せ、ホスト専用、オフィス専用、UNIXマシン専用を回避するため、開発資源をネットワーク制御の多重化へと振り向けた。その結果、僅かではあるが、日の当たる道も歩いた記憶がある。今思い出しても、サラリーマン人生の大きな岐路だったような気がする。他人から見て、つまらない事でも愚生にとっては大切な思い出だ。
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