老後の心得は身の丈にあった生活
関東地方の郊外を車で走ると、以前は田畑だったところに新築アパートが建設されている。実需があって地価が高い都内なら納得もするが、こんな所で採算が合うのかと思う。少子高齢化の時代に、家を借りる人が大幅に増えることはない。逆に、長期ローンを組む期間に借り手が減るほうが心配だ。ニュースでは、大東建託の2016年4~12月期連結経常利益は前年同期比約2割増の1000億円強だと報じられる。同期間では8期連続の最高益で、初めて1000億円を超えた。その要因は、低金利を受け、投資や相続税対策で賃貸アパートを建てる個人の需要を取り込んだという。同期間の売上高が、1兆1000億円前後というから、経常利益率は9%だ。収益の源泉は、賃貸アパートの建設だ。やはり、2015年に2%程度だったアパートローン金利は、日銀が昨年2月からマイナス金利政策を導入以降、1%台半ばまで低下した。そのため、低利で借り入れた資金で投資用にアパートを建てる個人が増えた。さらに、建設した賃貸アパートを管理して、建築主から空室保証料や管理手数料を受け取ることも安定した収入源となる。ただ、昨年9月ごろより、日銀の政策で長期国債金利が再びプラス圏になった。その結果、不動産市況は、長期金利が上昇してアパートローンが伸び悩む傾向だ。大東建宅でも賃貸アパートの受注が、昨年10月以降、3カ月連続で前年を下回った。愚生は、アパート建設には無頓着だが、J-REITに投資しているため予想はしていた。昨年、マイナス金利の導入で、短期・長期とも金利がマイナス圏になった。そのせいで、昨年2月頃からJ-REIT指数が跳ね上がった。6月には指標となる新発10年物国債の利回りは、一時マイナス0.165%となった。ところが、9月の日銀金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と名付けられた金融政策の導入を決めた。要するに、10年国債利回りを0%程度になるように目標を設定して、長期国債の買い入れを行う。このため、上場しているJ-REITファンドの目標価格が下がった。借入金利が上がれば、借入金利を家賃から差し引いて分配される配当が下がるとの思惑からだ。これは、株式格言にある「風が吹けば桶屋が儲かる」という感じだ。いずれにせよ、今もって短期国債金利は、マイナス圏だからデフレは間違いない。金利が安いと言っても、実質金利は決して安くない。借り入れ金利は、マイナス金利ではないだろうから借金などしない方が良い。実需がない所に賃貸アパートをどんどん建てれば、入居者は古いアパートから越してくる。その結果、古いアパートは空室となる。空室になれば、よほど他に収入がない限り、原価償却の税金還付も受けられない。ただ、資産評価額が減るだけだ。都内はともかく、田舎の住宅地は今でも地価が下落している。大東建託の営業マンが、どう地主を言いくるめてアパート投資を勧めているのかは知らないが、営業経費率は高いのではないか。いずれにせよ、いらないものは淘汰される。こう考えると、少子高齢化で日本国内への投資も限られてくる。老いてから、借入金でレバレッジをかけた投資などもってのほかだ。老後の心得は、無理をせずに、身の丈にあった生活が一番のようだ。
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