疑わしきは何もするな
愚生は、年末年始に保有していたJ-REITを一旦すべて売却した。12月は海外での年度末にあたり、価格は上昇する傾向が強いからだ。ここ数日の東証REIT指数は、2カ月ぶりの安値圏で停滞する。やはり、米国の長期金利が上昇し、日本の金利にも先高観が広がりつつあるからだろうか。アナリストは、海外投資家の売り圧力が強く指数が軟調になっていると指摘する。欧州の機関投資家は、長期金利の上昇懸念を持つ投資家が多いという。日本国内もマイナス金利を昨年、年初に導入してJ-REIT指数は跳ね上がった。しかし、昨年9月末に日銀が量的質的金融緩和を導入以来、長期金利の下落に歯止めがかかりJ-REIT指数は軟調だ。当然の話だが、金利が上がれば支払い利息が増えるため、REITは支払金利が負担増になる。結果として、利回りが低下する。昨年と違い、海外勢がJ-REITへの関心が薄れていれば、いくら国内勢が下値を拾ったとしても大幅な上昇はありえない。イエレンFRB議長が米景気に楽観的な見方を示し、早期利上げ観測が高まっている。こういう状況下では、米長期金利の上昇につられるように、日本の20年債利回りもじわりと上昇する。そして、金利上昇圧力に嫌気をしてJ-REITが売られる。ただ、日本国債などでの運用難から、J-REITを組み入れる公募投資信託やETFへの資金流入は細っていない。確かに、現状で米国債の金利が上がったとしても、個人消費に力強さがない昨今、日本の長期金利はさほど上がるとも思えない。そうなれば、ドル高円安に振れやすい。為替リスクは怖いが、愚生なら米国債に投資した方が、J-REIT投資より良い気もする。迷ってしまう。ただ、大統領がトランプでは、為替の口先介入でいつ円高に跳ね上がるか予想はできない。アナリストは、企業業績は堅調で都心部に新たな拠点を設ける動きは続いている。だから、需要面に着目すれば下振れリスクは意外小さいと分析する。しかし、過去の実績からアナリストの言葉など信用できない。そもそも、アナリストの的中率は50%だ。尤もらしい理由を付ける以外は、うちの猫に予想させるのと違わない。こう考えると、為替リスクを取って米国を中心とした海外株式に投資するか、J-REITを選択するかは悩ましい。「疑わしきは何もするな」と投資家に慎重さを求める相場格言を吟味する心境だ。
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