東芝は他社と大きく違い積極的だった
毎日、東芝関連のニュースが絶えない。愚生が学生時代は、東芝は福利厚生が備えた人気企業だった。入社後、語学研鑽のため欧米大学院への留学制度もあった。愚生の知り合いにも、猛勉強をしたのだろうが、短期間で修士学位を取って帰社したひともいた。いったい、当時の東芝はどこに行ってしまったのだろう。昨年度は、東芝メディコをキヤノンに売却して何とか債務超過を逃れた。先月の開示情報では、今期は原子力事業の7125億円の減損が発生し、3月末時点で1500億円の債務超過だった。ところが、昨日の発表では、米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の法的整理に伴い2017年3月期に1兆100億円の連結最終赤字に陥るという。この額は、国内製造業で過去最大の損失だ。日立製作所がハードディスク部門の売却などで、減損処理をした時でも7000億円弱だった。ひと月で、こうも損益が振れるのでは、何を信用して良いかわからない。10年くらい前、東芝の企業業績がよかった頃、東芝の経営手法は他社と大きく違い積極的だった。半導体や原子力、ノートパソコンなどに大規模な投資をして、業績を伸ばしていた。愚生のような同業界にいる者の目には、積極的な経営で会社業績を伸ばすのを見て、卓越した経営者だと尊敬の念を抱いた。愚生の危惧は、このような事業方針では失敗した時のリスクが大きいと思ったからだ。案の定、昨年の決算では液晶テレビなどの粉飾決算が明るみに出て、東芝メディコをキヤノンに売却して息を継いだ。これで終わりかと思いきや、今度は原子力事業の減損処理だ。株主から預かったお金である自己資本は3月末に6200億円の債務超過となる。その穴埋めに利益の源泉である半導体メモリ部門を売却するという。東芝は、二兆円規模の資産価値があるというが、足元を見られて買い叩かれるだろう。そんな額で売却できるとは思えない。半導体メモリは、漁業と同じで浮き沈みの激しい分野だ。高くても欲しいという企業は、技術力の伴わない中国や台湾企業などくらいだ。東芝の網川社長は、海外原発事業から撤退することになり、東芝にとって一番大きなリスクがなくなるという。しかし、成長分野もなくなるわけだから、今後の期待などできない。社会インフラを軸に再建を推し進めるというが、日立製作所や三菱電機が10年前に選択した道だ。東芝が新たな経営の核に据える社会インフラ事業とは、昇降機や空調、水処理、鉄道システムといった部門だ。一例をとれば、JRの座席指定の発券機などは、国鉄時代から日立製作所との協業で構築したものだ。インフラ事業は特定の顧客との随意取引が多いため、一朝一夕で成長が望める分野ではない。再生より部門の切り売りで、三洋電機の二の舞にならなければよいがと思う
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