貧困に喘ぐ女性の現実
電子版の東洋経済に、貧困に喘ぐ女性の現実という連載がある。全てが取材記事だから、現実にあった話だ。もちろん、多少の脚色があったとしても、真実に近いだろう。愚生も勤め人時代は、中途入社を採用する職務権限がある立場だった。記事は、シングルマザーという切り口から、貧困の実態を炙り出している。ただ、日本の労働市場の流動性は、女性やシングルマザーでなくても硬直化している。記事のように東大卒や英検一級の資格を持っていたとしても、中途採用で希望の職種や給料を得ることは容易でない。日本の大手企業では、新卒採用に力を振り向ける。愚生が勤務したF社でも同様だった。新入社員に多くの能力を求めるより、将来の資質を買って、社内教育で人材を育てようという方針だ。即戦力だからと言って、中年の中途採用者を多くとれば、人員構成が崩れる。同一職種、同一賃金といったフラットな労働環境は日本には醸成されていない。どんな企業でも、多少は年功が加味された賃金体系だ。愚生の職場では、個人よりチームを組んで開発業務にあたる。そのため、横の連携が密でなければ全体工程が円滑に進まない。そういうこともあって、愚生の部長時代は、正社員の中途採用を一切しなかった。多少の人員不足は、残業と効率化で乗り切り、次年度の新人を採用まで待った。大企業には、多くの人材が集まる。当然、人生に対する価値観など多種多様だ。自分の考えと違うことは当然だと思っていた。ただ、労働の対価として報酬を得るのだから、愚生への批判は自由だが、任せられたアウトプットだけは確実に出すことを求めた。記事によれば、英検一級を生かす仕事どころか、普通の事務職の仕事もなかったという。ただ、採用する側から見れば、高学歴の女性を、その能力に相応しい仕事もないのに採用することはない。そして、若い男性エンジニアの多い職場であれば、活気が出るような女性を雇いたい。日本社会では、高学歴という肩書は、新卒採用時しか役に立たないようだ。中途採用者に求められる資質は、肩書きではなく、実務というか能力をしめす過去のキャリアだ。よほど卓越したキャリアの持ち主でない限り、年齢や勤務時間で制限があれば採用される見込みはない。新卒者より採用基準のハードルは、はるかに高い。これが現実だから、中途採用で中年女性のシングルマザーと言われれば引いてしまう。そう考えれば、肩書きだけの実務未経験者の中途採用などに良い職種があるはずはない。愚生にも、中途退職した友人がいるが、今頃どうしているのだろかと心配になる。
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