サブプライムローンを思い出す。
今朝の日経新聞に、大手銀行が資金供給してきたREIT市場が踊り場に差し掛かったとある。政府は現在16兆円のREITの市場規模を2020年に30兆円まで増やす目標を掲げている。それには、大手銀行頼みでは貸出額が限界に近い。今後は、地銀や年金など機関投資家に貸し手を探しだす必要に迫られる。大手銀行は、REIT債権を売却することによりリスク要因を減らし、融資余力などの財務体質を改善したい。その政府方針との差分を埋める手段として、三菱UFJ銀行は、保有REIT融資をCDO(債務担保証券)として、地銀や機関投資家に販売する。こう聞くと、不良住宅債権を証券化して販売し、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンを思い出す。債務担保証券は、貸し倒れリスクを投資家が買う仕組みだ。低金利時代に一定の利回りを得られるといっても、1%以下程度だろう。三菱商事の子会社が運営するREIT法人の借入金利をみれば、ほとんどが1%未満だからだ。2008年のリーマンショックで、REIT法人は資金繰り難に陥った経験がある。それ以来、REITの資金調達は銀行借り入れが強まった。運営されているREIT法人向け融資の7割は、3メガバンクなどの大手銀行から資金調達をしている。地方銀行と言えば、最近はアパートローンくらいしか貸し出し先はない。無理やりハウスメーカーが地主を騙して建築させた案件ばかりだから、1%で貸し付けたとしても貸し出しリスクが大きい。バブル1990年に起きた土地バブルが、アパートローンと名前を変えて起きようとしている。愚生のようにバブル時代を経験した老人には、「歴史は繰り返す」という言葉を思い出す。今回は2次や3次といった再証券化商品ではなく、三菱UFJ銀行のREIT向け融資債権だから安全だろう。しかし、いつの間にか地銀のアパートローン貸付債権などが紛れ込めば、サブプライムローン化する。運用先がないと言っても、債務担保証券など買う気にはなれない。債権は安全でなければ意味はない。どうせリスクを取るなら、愚生なら株やREITに直接投資したい。
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