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2017年7月22日 (土)

業界の成功はプラットフォームの独占

Vnxcqow 餅は餅屋という故事がある。上手とは言え、素人では専門家にかなわないということのたとえだ。その業界で生きてきたものでなければ本質は判らないという意味にもとれる。昨日の日経ラジオを聞いていて、現役のファンドマネージャーという肩書の知見者は、IT分野の技術的内容にまで踏み込んで言い切っていた。彼は、為替や株、債券の知識では専門家だ。しかし、愚生のような人生のほとんどをコンピュータ業界の中で過ごしてきた者からめれば、素人の付け焼刃的な見解だと思った。知らないことを、自信満々に断言する様を見て、彼の見解を金科玉条のごとく受け入れてきたことが多少不安になった。もちろん、投資は自己責任だから、彼に責任があるわけではない。だだ、公共の電波の場で見解を言うなら、ウォーレン・バフェット氏のようなコメントにすべきだ。彼は、常々「自分が理解できない分野の株には投資しない」と言っている。最近、アップル株に投資するまで、IBM株を除いて、IT系企業にはほとんど投資した実績がない。そのIBMへの投資も失敗だった。バフェット氏の中に「最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかだ」という箴言がある。長々と前置きをしてしまった。IT事業で一番成功したのは誰かと言えば、長者番付のトップに立つビル・ゲイツだろう。もちろん、異論はある。しかし、彼がやってきたことはプラットフォームを独占することだ。孫悟空が観音様の手の上を飛び回っているように。ITが分かりづらければ、語学に置き換えれば容易に理解できる。世界の共通語は英語だ。英語が他の言語より格段に優れているわけではない。ただ、世界中の多くの人が英語を使うから、世界の共通語になった。英国が植民地を世界中に作り、その後、その中に一つだった米国が世界を牛耳っているからだ。愚生のような者でも、コンピュータ業界での初期開発は、資料がすべて英文のため英語は必須だった。IBMは、360システムで世界を独占した。そのため、コンピュータ・アプリケーションはすべてIBM360システムで作成された。だから、IBMOS互換でなければ、後発のコンピュータ企業は生き残れなかった。今なら愚生でも解ることだが、当時それを理解していた業界の経営者は、富士通の池田専務くらいだった。日本のコンピュータ業界で生き残った富士通・日立連合は、IBMコンパチ路線を取ったからだ。その巨人IBMを駆逐したのは、マイクロソフトのビル・ゲイツだ。センター中心から、分散コンピューティングへと導きWindowsをパソコンのフラットホームにしてしまった。要するに、Windowsが素晴らしいのではなく、英語と同様にOSのインフラになったことだ。インターネットでも同様だ。国際標準化機構(ISO)は、コンピュータの持つべき通信機能を階層構造に分割したモデルを決めた。OSI基本参照モデルと呼ばれる。その中の通信機能(通信プロトコル)を7つの階層に分けて定義した。しかし、OSIは政府・学者・企業がこぞって支持した規格だったが、実際にはあまり普及しなかった。F社でも対応したが、いつまでたっても詳細な規格が決まらないことも一因だった。理由としては、実装を考慮せずに机上で決められた規格であった。一方、TCP/IPはARPAnetから発展したプロトコルだったため、4.2BSD(UNIX  UCバークレー系OS) で一般的に利用できた。そして、インターネットの普及に伴い爆発的に発展したため、OSIをいつのまにか駆逐してしまった。ところで、マイクロソフトを凌駕することなど不可能だと思っていたが、それをやってのけた企業がある。それがグーグルだ。マイクロソフトのビジネスモデルは、OSとその上に載るオフィスというアプリケーションソフトが収入源だ。グーグルは、そのOSやアプリケーションソフトをダダで配り、広告で儲けるというビジネスモデルを構築した。マイクロソフトも、無償で収入源のソフトを配られては勝てるはずはない。いずれは、基幹サーバのOSとして生き残る運命だろう。FANGと呼ばれる米国優良企業株は、その分野のインフラを抑えている、または抑えようとしている企業の株だ。いくら優れていても、普及しなければ価値は認められないし、生き残れない。コンピュータ業界の浮沈は、すぐれた機械ではなく、あまねく広がった文化だと思えばよい。ところで、ウォーレン・バフェット氏は、「株式投資の極意とは、いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、いい会社である限りそれを持ち続けること。」と言っている。短期売買の浮ついた投資より、優良銘柄を持ち続けることの方が重要だという。今はそう納得するが、気の短い愚生は、いつものように朝令暮改になるかもしれない。

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