地方に行けば、コンビニとネット銀行が主流
愚生などは、銀行窓口に行く機会がほとんどなくなった。例えば、銀行振り込みをするにしても、証券会社と提携したネット銀行で行う。手数料は、月に数回程度なら無料だ。固定資産税や自動車税税金などの払い込みも近くのコンビニでする。そして、病院などの支払いもクレジットカードで決済する。楽天やヤフーカードならポイントが付加されるために1%引きだ。日常使う現金も、コンビニやスーパーの端末で手数料なしで引き出せる。愚生の住む地域は、東京郊外とはいっても規模の大きな商店街が形成されているため、銀行の支店は多い。こういう地域でも銀行に行く機会がないのだから、銀行の支店が少ない地方に行けば、なおさらコンビニとネット銀行が主流だろう。そう考えると、今まで以上に地方銀行への視線が厳しくなる。地域経済には明るさが出始めているといっても、日銀のマイナス金利政策に伴い収益環境は日増しに悪くなっているはずだ。もとより人口減で顧客の先細りは避けられない。貸し出し先もない地銀は、ハウスメーカーと組んでアパート建設の資金の用立てに走っている。愚生が見る日経新聞系のテレビには、「土地がなくても、頭金が少なくてもアパート建設ができる」といったコマーシャルが流れている。しかし、REITを購入する指標にLTV(Loan to Value:物件の価値に対する負債の割合を表す数値)がある。これは、不動産の証券化商品の優劣を見分けるための指標の一つだ。一般的に50%を大きく上回ったリスクが高い証券などは買わない。上場地銀82行の2017年上期の連結純利益は前年同期比で16%減り、全体の6割の銀行が減益決算だ。銀行の体力の指標ともいえる総資金利ざや(取り扱うすべての資金の運用利回りと、調達利回りとの金利差)は、39行で低下した。当たり前のことだが、▼マイナスを示す逆ざやになると運用すればするほど赤字になる。日銀のマイナス金利政策が原因だともいえるが、そもそもの問題は地銀の経営にある。ネット銀行やコンビニの出現で、通常の窓口業務や低金利の貸し出し競争では収益が減っている。それは、固定費が高い分効率が悪く不利になるからだ。米欧に比べ従業員当たりの収益水準も低い。地銀に求められることは収益源の多様化だ。金融庁は、「金融行政方針」では地銀淘汰の可能性に踏み込んでいる。地銀の破綻といえば、2003年の足利銀行が最後だ。その足利銀行も、常陽銀行との合併(めぶきFD)で、図体を大きくして、有価証券の売却益などでしのごうと模索している。地銀は金利が上がれば大丈夫というが、金利が上がれば国の財政が大変なことになるため、当分上がらない。これからは、金融とIT(情報技術)を融合するフィンテックで、ブロックチェーンなどの技術が取り入れられれば、銀行の決済システムそのものが不要となる。将来は、メガバンクでも危なくなる。それを横目にして、地銀は少子高齢化時代に不要とも思えるアパート建設に資金を提供する。この様な目先の対策では、土地バブルの1990年以降の銀行破綻の再現かと穿った目で見たくなる。
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