キャッシュはすべて継続的な成長につぎ込む
ソフトバンクグループは保険事業に参入するという。その一環としてスイスの再保険大手、スイス・リーと出資協議を進めている。携帯電話と並ぶ安定した現金収入源を得るためだ。この投資戦略は、どこかウォーレン・バフェットが率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイと近似している。つまり、保険事業で稼いだキャッシュを合併・買収へ振り向けることだ。ソフトバンクの出資比率は発行済み株式の最大3分の1とする方向で協議していて、取得額は約1兆500億円を超えるという。ソフトバンクの投資方針は、アリババへの投資などと同じだ。株式の3分の1を持つことで、経営の支配権は持たないが、合併など重要案件に関する特別決議に対する拒否権を持つ。バークシャーは自動車保険大手のガイコなど保険・再保険が事業の中核だ。スーパーと同じで、保険事業は「掛け金は先に貰うが、保険金は後払い」となる。この時差があることで、金融収支上の余裕資金ができる。バークシャーの場合は、この余裕資金がおよそ1100億ドルにものぼる。ソフトバンクがスイス・リーに出資すると、どんなメリットがあるのだろうか。スイス・リーの配当総額は2017年12月期で約18億ドル。出資比率が3分の1以下でスイス・リーが関連会社となるなら単純計算で600億円程度の配当収入が得られる。ソフトバンクをみれば、投資などに使った資金「投資キャッシュフロー」が「営業キャッシュフロー」を常に上回る資金不足の会社だ。つまり、資金不足のためそれを穴埋めするため借金を重ねている。しかも、ソフトバンクの社債格付けは低いため、これから世界的な金利上昇があれば利払いが苦しくなる。その対策として、安定した現金創出力を持つ保険事業を強化するのだろう。ところで、米誌フォーブスは昨日、2018年版の世界の長者番付を発表した。米インターネット通販大手アマゾンドットコムの創業者のジェフ・ベゾスが保有資産約11兆8千億円となり、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツの約10兆円を抜いて初の首位となった。どちらの数値も愚生には全く縁がないから、考えが及ばす、羨ましいとは思わない。アマゾンは、これから先のビジネスに関しても、参入調査をしていない分野はほとんどないといわれる。アマゾンの株価は、株価収益率(PER)では量れない。アマゾンの決算報告を見れば利益率は低い。しかし、キャッシュフロー計算書には違った顔が映る。それは、過去10年におけるアマゾンの純利益とキャッシュフローの推移だ。投資は損益計算書に記載されるが、営業キャッシュフローには計上されない。一方、フリー・キャッシュフローには、投資のすべてが計上される。アマゾンのフリー・キャッシュフローは、純利益を継続的に10億ドル以上も上回っている。フリー・キャッシュフローは、現金が実際に移動した時にはじめて計上される。したがって、ある事業において、資金回収が早く、仕入れ先への支払いに時間的余裕を持つならば、純利益がマイナスでもフリー・キャッシュフローはプラスになる。これは、保険事業で生じた余裕資金を投資に回しているバークシャーの場合と似ている。アマゾンの場合は、キャッシュはすべて継続的な成長につぎ込む。そのため、ソフトバンクと違い、借り入れや株の発行で資金を集めなくとも、新たな分野への投資資金が生れる。それが積算した証拠に、アマゾンの一株は1500ドル以上もの価格だ。ただし、アマゾンが今のやり方を続けるには、キャッシュ創出力を今後も維持することが不可欠だ。これには、アマゾンに継続的な限りない成長が求められる。才のない愚生としては、ジェフ・ベゾスにおんぶに・抱っこに・肩車という感じで期待したい。
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