トランプにイソップ物語を読み聞かせて欲しい

米中の貿易戦争というか、相手に対する報復関税の口撃もこの域を超えていない。トランプは、株が大きく下がっても自分たちは、貿易戦争に勝つと放言している。ホワイトハウスの当局者は、大統領発言の火消しに努めたが市場は落ち着かず、VIX指数は21を超えた。そして、ムニューシン米財務長官が、米中の関税措置が全面的な貿易戦争につながる「リスクがある程度存在する」と述べたことも、市場の懸念を強めた。トランプと習近平の戦いは、どちらが勝つのだろう。これは歴史を振り返ると面白い。古代ギリシアのアテネとスパルタが良い参考例だ。スパルタは、少数の市民が多数の奴隷と半自由民を支配する厳しい軍国主義だ。ペルシア戦争ではアテネと共同で戦ったが、その後ギリシア全土の覇権を巡り両者は対立し、ペロポネソス戦争となった。スパルタの市民はポリス内部では少数の支配層であったが、いっさいの生産労働から解放され政治と軍事に専念する戦士団であった。そういえば、中国共産党の党員は、働きもせずに人民を搾取して優雅な生活をしている。スパルタは少数の支配層が権力を維持し奴隷身分や半自由人に対する差別があった。しかし、支配層の市民間は平等だった。どうも、中国の共産党員と同じようだ。また、対外政策では、スパルタは徹底した鎖国政策をとったため、他国との文化的交流が少なく、アテネのような文化は育たなかった。一方、アテネはスパルタと並ぶ古代ギリシアの代表的ポリスであるが、民主主義国家だった。そして、自由経済だっため米国のように市民間の貧富の差が拡大していた。その両国は軍事大国であったが、アテネが海軍主体であったのに対してスパルタは陸軍が強大だった。ペルシア戦争(前500~前449年)では、他のポリスと同調してアケメネス朝のペルシア軍と戦った。その勝利後、スパルタとアテネはペロポネソス戦争で覇権を争いスパルタが勝利し、ギリシアの全覇権を握った。スパルタは軍国主義を地で行った「スパルタ教育」のポリスとして有名である。そのために国民生活に、考えられないさまざまな規制や習慣が行なわれてきた。散歩禁止令は、スパルタ人たるもの散歩によってではなく、鍛錬によって健康を維持すべきであるという理由。また、スパルタの法律では、色白の肌と肥満は禁じられていた。それは体育による鍛錬を怠った男子の証拠とされた。脂肪がついて多少ふくれあがっている。四肢のどこかに弛緩した軟弱な部分があった場合は、鞭で打たれて処罰されたという。習近平という中国共産党は、正にスパルタと二重写しに見える。いや、民主主義という観点からいえばスパルタ以前の王朝国家だ。トランプは本格的な貿易戦争となった場合、米国は若干の痛みに耐える必要があると述べた。しかし、不利益を受ける米国産業は、トランプに対して黙っていないだろう。貿易戦争は、専制国家の方が強い気がする。即ち、米国民はトランプの愚行で、自らの資産が目減りや損失することを受け入れ入れるとは思えない。米中間の貿易戦争が勃発すれば、不利益を被る自国民の反発でトランプ政権は危うくなる。こう考えると、トランプが考えるほど、事は単純ではない。だれかトランプにイソップ物語を読み聞かせて欲しいものだ。
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