「藤井聡太は強いから勝つ」
愚生は、少年時代を雪深い北陸に育った。冬の遊びと言えば戸外のスポーツとしてスキーもあった。しかし、戦後生まれといえ昭和二十年代の初期は、コッペパンの配給がされていた。そして、米国で廃棄するような脱脂粉乳を溶かしたものを、牛乳瓶に詰めて飲んだ時代だ。長靴を買うのがやっとの時代に、スキー靴やスキーを買ってもらえる子供は少数だった。そういう訳で、豪雪地帯の冬と言えば、室内で遊べる将棋やトランプくらいしかなかった。そのせいで、愚生も小さい頃から将棋を指すことが多かった。愚生の頃は、大山十五世名人が四間飛車で他の棋士を圧倒していた時代だ。居飛車穴熊などの戦法が確立していなかったせいもあって、当時はプロでも振り飛車党が多かった。その後、居飛車党の中原十六世名人の出現で、プロの将棋はまた居飛車に回帰していった。ところで、将棋界の「藤井聡太」はなぜ将棋に勝てるのかという記事があった。強いから勝つのだろうが、そう書いてしまってはコラムにはならない。東大卒の片上大輔6段は、いま将棋界は、400年以上の歴史の中でも劇的な出来事が相次いでいるという。彼のいう出来事とは、コンピュータソフトが佐藤天彦名人に勝利した事実だ。人工知能(AI)が人間の能力を凌駕するのなら、棋譜を売り物にするプロ棋士など不要だという意見もある。そして、彗星のように現れた中学生棋士の藤井聡太六段がプロデビューして以来、最年少記録を次々に塗り替えていった。藤井聡太六段は、将棋のルールを覚えてから10年程度の少年だ。その彼に、長年プロとして活躍して鍛えてきた棋士が、次々に敗れた。それは将棋に勝つには経験値ではない。最善手をいかに積み重ねていくかという、情報処理能力が重要だということだ。経験や感覚、勘より、緻密さが求められる。ただ、藤井は小学生時代からプロも交えた詰将棋大会での優勝者だ。だから、終盤力は圧倒的に強い。これは、限られた場面に閉じれば、コンピュータソフトと同様に圧倒的な分析処理能力を持つからだ。片上は、藤井の将棋を見ていると、あらゆる局面で指し手をひたすら理詰めで選ぶ。そして、全く未知の局面でも、藤井はひたすら指し手を読み、感覚で指すことはない。その指し手は、コンピュータソフトが選ぶ手と近い。つまり、プロなら誰もが思いつく感覚的な手など指さずに、将棋を確実に勝つ最善手を選ぶ。それは、正確な読みに支えられ、数十手も先を見通すからだ。もちろん、全てがコンピュータソフトと同じではないが、結果として求められる成果は同等に出す。愚生はここまで、コラムの骨子を読んで思ったことは、要するに藤井聡太は将棋が強いということだ。プロ棋士は何手も先を読むのだろう。ただ、藤井ほど先を読める棋士がいない。将棋のような緻密なゲームは、情報処理能力が強く求められる。大局観や棋風、攻め将棋や受け将棋など、指し手を縛る要素などあってはならない。確実に勝てる正しい指し手だけを、どこまで正確に読み解くかが重要なのだ。片上のコラムは、いろいろと引用してはあったが、一行に要約すれば、「藤井聡太は強いから勝つ」という駄文だった。
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