
米国では、選手の打撃力を正当に評価するためにOPSという指標を使う。得点との相関関係が高いことから、現在ではMLBだけではなく、NPBでも重視されるようになった。セイバーメトリクスの祖であるビル・ジェームズが開発した指標で、得点との相関性は打率よりも高いとされる。大リーグでは打者成績の公式記録にも採用されるようになった。
ジェームズはOPSによる打者の格付けを提唱している。
OPS=出塁率+長打率
たったこれだけの指数だが、打率だけではなく出塁率も考慮されている上に、長打力も評価に入る。この打者を評価するOPS指標では、9割台で優秀な打者、10割以上になれば屈指の強打者とみなされる。
A .9000以上
B .8999~.8334
C .8333~.7667
D .7666~.7000
E .6999~.6334
F .6333~.5667
G .5666以下
エンゼルスの大谷君の現在のOPSは9割9分1厘。最新の大リーグ公式サイトによると、ア・リーグのトップはレッドソックスのベッツで11割8分8厘、大谷の同僚トラウトが10割7分1厘で2位、オリオールズのマチャドが10割4分3厘で3位と続く。メジャー屈指の強打者が上位を占める。大谷君は投打の「二刀流」のため規定打席に届いていないが、6位のヤンキース・ジャッジの9割8分を上回っている。それでは、日本人選手で活躍したイチローや松井秀喜のOPSはどうだったのだろうか。
過去に殿堂入り3000本単打選手のOPSは、以下だ。
Pete Rose (4256安打).784
Derek Jeter (3311安打).829
Robin Yount (3142安打).772
Tony Gwynn (3141安打).847
Craig Biggio (3060安打).796
Rod Carew (3053安打).822
Lou Brock (3023安打).753
Wade Boggs (3010安打).858
Roberto Clemente (3000安打).834.
イチローのメジャー通算OPSは.726だから高くない。通算打率は、319だが、通算四球はわずか539(シーズン平均41個)。このOPSを他の殿堂入り3000本単打選手と比べて数値が低い。松井と比較しても、安打数が多いからイチローが高いと思う人が多いだろう。しかし、OPSは勿論、出塁率でも松井がイチローに勝っている。バッターのタイプが全く違うだけに、どちらの選手を高く評価するかは人によって分かれる。しかし、OPSでは松井の方が高い数値をたたき出している。興味深いのはイチロー選手がシーズン262安打のMLB記録を樹立した同じ年に、松井選手がOPSではイチロー上回っているという不思議だ。打率では7分以上の差をつけられながら、四球の多さと長打力で逆転している。この年、
日本ではイチローのフィーバーだったが、チームへの貢献度としては松井選手の方が上ということになる。イチローの打率は高いものの、OPSはあまり高くないため、MLBで高く評価されていないのが実情。どうも日本での評判と大きく違っているようだ。ところで、二刀流の大谷君のOPSは、軽々とイチローや松井を超えている。そう考えると、
イチローをレジェンドと呼ぶには少し抵抗がある。ただ、打率などの指標は、キャリアが長ければ長いほど悪くなる傾向がある。そのため比較するなら条件を合わせないといけない。ただ、イチローの安打は80%以上が単打、安打の内20%以上が内野安打という内容だから、OPSが低く、チームには貢献していない。
今も、戦力外を通告されたチームに帯同している。
誰か然るべき人物が、イチローに引導を渡すべき時だろう。物事の終わりには、美学が重要だ。愚生の友人でも、シルバーライフに入っても未だに「葉っぱ」の運送をしている人もいる。
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