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2018年5月29日 (火)

「ネオダマ」といいうキーワードがあった。

Photo 二十年以上前から、ペーパーレス時代の到来が叫ばれていた。ゼロックス、キヤノン、リコー、コニカミノルタ、京セラ、シャープなどのプリンターや複写機で収益を上げていた企業の将来性が指摘されていた。京セラのように本業が他にある場合を除けば、市場が縮小する前に事業転換を図らなければ生き残れない。富士フィルム(富士ゼロックス)は、医療機器・薬・化粧品、キヤノンは、医療機器・監視システム製品・カメラなどに事業の軸足を移そうとしている。その中で、リコーとコニカミノルタはどうやって生き残るのだろうか。コノカミノルタの2019年3月期の決算は市場予想を大きく上回った。欧州が好調だったことが押し上げた。今期の連結営業利益の見通しは前期比11%増の600億円。発表直前に492億円だった市場予想を108億円も上回った。その結果、翌日の株価は取引開始直後に一時前日比8%高まで上昇した。コニカミノルタの稼ぎ頭は事務機事業で、連結営業利益のうち5割以上を占める。今期の事務機事業は競合他社であるリコーによる価格攻勢が米国で一服することなどが追い風になり、採算が改善するという。縮小する市場で、価格競争などするリコーに、将来性があるのだろうかと穿った見方をしたくなる。リコーの2018年3月期の営業利益が▼一千億円以上の赤字だ。一方、コニカミノルタがオフィスのペーパーレス化で市場縮小が進む中でも増益となったのは、一時的な利益で辛うじて増益を確保した側面が強い。遊休不動産の売却などによる一過性の収益(約50億円)が含まれている。しかし、来期は失速している事務機事業について、先行きが警戒される。それは、同社の稼ぎ頭である欧州地域での販売不振だ。コニカミノルタは、事務機で競合他社のキヤノンやリコーとの差別化を図るため他社が手薄だった欧州地域を先んじて開拓してきた。前期の地域別売上高比率で欧州は3割強を占めており、他の地域よりも高い。ところが、欧州では手元資金が潤沢な京セラというライバルが出現した。京セラの2018年3月期の事務機部門の事業利益は411億円。前の期から47%も増加し、市場が縮小に向かう事務機市場で2ケタ増益だ。さらに京セラは欧州でシェアを引き上げるために価格攻勢を仕掛けている可能性が高いという。こういう理由で、コニカミノルタはしぼみつつある欧州事務機市場のパイを京セラと奪い合う価格競争に巻き込まれる恐れがある。どうも複写機市場は、日本企業がなりふり構わず低価格攻勢を仕掛けて混乱しているようだ。今後の成長戦略を考えるなら、新規ビジネスはネットワーク絡みからしか生まれない。愚生がF社にいた35年前くらいだっただろうか、「ネオダマ」といいうキーワードがあった。
それは、ネットワーク・オープン化・ダウンサイジング・マルチメディアの頭文字を集めたものだ。オープン化・ダウンサイジング・マルチメディアは、すでに成し遂げられて、ビジネスは成熟期に入っている。これからも成長期し続けるのは、ネットワークだ。複写機市場で安閑と利益が得られる時代の終焉は近い。こう考えると、一番深刻な企業は、事業転換が上手くいっていないリコーのような気がする。

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