平家物語の冒頭を思い出す。
北陸新幹線や上越新幹線が開通する前は、愚生の田舎に帰るには信越線か上越線で、新潟県を通る必要があった。小千谷市は、東京(高崎)から下れば、上越線の水上と長岡の間に位置する。その小千谷といえば、錦鯉や小千谷縮で知られている地域だ。錦鯉は県内の約45%を生産する。その錦鯉は、全国的に知られ、国内はもちろん海外でも高い評価を得ている。錦鯉は雪国の清らかな水と、伝統の技法で育てられた独特な色調を持つ流麗な体形から、別名「泳ぐ宝石」とも呼ばれる。この小千谷市は、JR上越新幹線の沿線だが市内に駅はない。市域のほとんどの区間が魚沼トンネル、妙見トンネルで通過しており、浦柄地区に数百メートルだけ地上区間がある。だから、上越新幹線の車窓から小千谷市内の風景を見ることはできない。その新幹線を利用する場合は、越後湯沢駅、浦佐駅、長岡駅のいずれかで乗り換える必要がある。ところで、長岡を地盤とする田中角栄宅には、一匹数百万円の錦鯉が泳いでいた。錦鯉を産業とする地元選挙区の業者からのご祝儀品だったのだろうか。隣県の愚生の地域でも、近くに錦鯉の養魚場があった。田中角栄宅の鯉とは比較にならないが、当時のお金で1匹1万~3万円もする高価な贈答品だった。親父が身の丈に合わない道楽で造った庭にも、錦鯉が何十匹も放たれていた。そのせいで、田舎に帰ると自宅の池にネットが張ってあった。大鷺が食料として、池の鯉を攫っていくからだという。俯瞰するという単語をよく使うが、鳥の目とはずいぶん遠くまで正確に見えるものだと感心させられた。その金をかけて造った庭園も、愚兄が相続してからは維持管理ができなくなった。今は借金が詰まった賃貸アパートに変わってしまった。放たれた錦鯉も金持ち宅で優雅に泳いでいる時は良いのだろう。しかし、身の丈に合わない相続人に代替わりすれば、そく落命と思うと哀れを感じる。適当ではないが平家物語の冒頭を思い出す。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」晩節を迎えた愚生の心境と、何か通じるものがある。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 政府の観光促進策「全国旅行支援」(2022.10.11)
- 岸田首相の正しい判断だと支持したい。(2021.11.29)
- 政府には「しっかりしてくれよ」と言いたい(2021.02.24)
- 北関東3県がワーストリレー(2021.01.12)
- 中途半端な対策でよいのだろうか(2020.12.05)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 浄粒善行はtwitterに移行しました。@jyohryu(2023.04.27)
- 今日でブログを終了します。(2023.04.14)
- N党の混乱に思う(2023.04.13)
- 不倫の無能男な現職知事(2023.04.10)
- 身の丈にあわないことはしない方が良い(2023.04.09)
コメント