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2018年5月10日 (木)

工事代金は、依頼先によって大きく違う

How_01_04 愚生宅は平成十年に建て直した。そういう訳で、愚直に十年毎に外壁塗装をしている。ご近所でも、屋根の無理替え時期を渋ったために、水漏れが発生して屋根板の吹き替えをした家もある。昨日、外壁の塗装会社と契約をした。塗装会社と言っても、社長兼営業のような数人の小さな会社だ。こういう塗装会社の作業は資格が不要だから、どこでも引き受けるし、技術レベルや作業金額も千差万別だ。ではいったい、利益構造はどうなっているのだろうか。家のリフォームや解体の工事代金は、依頼先によって大きく違う。実際に複数の業者から見積りをとってみると、同じ工事の見積りなのに倍以上金額が違う場合も少なくない。こうなると何を信じていいのか分からない。「見積りの高い業者はぼったくり?」「見積りの安い業者は手抜きでは?」と不安になる。消費者から見るとこの金額差は「?」であるが、実は当たり前の話だ。この金額差は、建築作業の仕組みから生まれる。同じ内容のリフォームでも、どこに依頼するかで金額が大きく変わってくるが、その種類は大きく分けて3つくらいだろう。
①個人店のような会社の場合は、職人の日当代(人件費)+材料代+諸経費
②工事店の場合は、①の金額は工事店にとっての原価になる。①+会社の利益が、工事店の見積り金額になる。例えば、工事店の利益率の相場が15%前後と考えると、①÷85%前後である。だから、同じ内容であっても工事店に頼むと割高になる。
大規模な営業会社であれば、もっと金額は膨らむ。リフォーム営業会社とは、その会社の営業マンが受注した工事を下請けの工事店に外注する。積極的に広告活動を行っている業者のほとんどがこれに当たる。実はこれらのリフォーム営業会社は、表向きには建築会社だが、中身は完全に営業中心の会社だ。ですから驚くべきことに、社員に職人は一人もいません。社員は販売の営業マンと事務員だけだ。ミサワホーミングなどもこれに当たるだろう。彼らはお客様と話す時に、工事を外注する下請け業者のことを必ず「うちの職人は…」「うちの技術の者は…」と言う。しかし、その「職人」や「技術の者」とは、リフォーム営業会社が外注する下請けの工事店の職人だ。リフォーム営業会社は、下請け工事店の見積りに自社利益を上乗せする。だから、②が原価になる。リフォーム営業会社の利益率は、大体40%くらいが一般的だ。この場合は、②にリフォーム営業会社の利益が上乗せされた金額②÷60%がリフォーム営業会社の見積り金額になる。この事情は大規模なリフォーム工事でも変わらない。これを逆に考えると、リフォーム営業会社から100万円~120万円の見積りをもらった場合、工事店であれば70万円前後でやってくれることがあるということだ。リフォーム営業会社の社員なら、自分の家をリフォームする時に、自分の会社を通さずに下請けの工事店に直接工事するに違いない。普通の商品には定価があるため定価の何%オフという形での比較ができる。しかし、リフォームの工事代は正直なところ値段があってないようなものだ。同じリフォームでも業者が100万円と言えば100万円ですし、150万円と言えば150万円の工事になる。わかり易い話で言えば、商品を小売店から買うかメーカーや問屋から買うかの違いと大して変わらない。そう考えれば、リフォーム営業会社の経営を成り立たせるには、40%くらいの粗利を稼ぎ出さなければならないことになる。愚生の依頼先の小さな工務店社長は、直接受注のためか「ほくほく顔」だった。雑談の中で、大手ハウスメーカなどは、銀行融資まで保証して、地主に賃貸アパートを無理にでも立てさせるという。つまり、1億円で建てたアパートであっても、建築物価値は6000万円しかない。大手ハウスメーカを通せば、いきなり4000万円もアパートの価値を毀損することになる。最近、日本の津々浦々で賃貸アパートが建設されている。いずれ建築主は、ハウスメーカの詐欺まがいに気が付くのだろうが。後の祭りだ。

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