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2018年6月21日 (木)

会計基準の変更は株主に周知徹底を

8  三菱重工業が開発を進める国産初のジェット旅客機「MRJ」の資産約4000億円が、貸借対照表から消えた。三菱重工業が減損処理をしなかったからだ。これまでは、MRJの試験機を資産として約4000億円計上していた。今回の処置は、損失は計上していないが資産は減るわけだから、約4000億円の純資産の減額をした。今回の決算発表で、MRJの開発に使った資産額が明らかになった。しかし、損失を伴わないまま計上していた資産を消してもよいのだろうか。一般的に、企業が保有資産の価値を引き下げる場合、減損損失を計上する。貸借対照表に計上している資産の簿価よりも評価額が小さくなれば、簿価を引き下げる会計ルールだ。賃貸アパート建設をした場合でも、建った時と十年経った物件が同一価格のはずはない。当然、毎年減価償却を計上して簿価を引き下げる。車だろとエレベーターにしろ、新品時と使い古した機器の価格が同一なはずはない。今回、減損処理すれば、最終損益は大幅な赤字になる。三菱重工の前期の純利益は704億円だから、4000億円の損失を計上すれば、過去最大の赤字になった。これを、三菱重工業は日本基準から国際会計基準に変えることにより表面上の決算を取り繕った。損益計算書で損失が発生すれば減損処理をするのだが、両方の会計基準で判定手法が違うことを利用した。日本基準ではMRJが、今後20年程度で稼ぐ金額と、資産の価値を比較する。稼ぎ出す予定金額が資産価値よりも大きければ、日本基準では減損の必要はない。しかし、どこの世界に稼ぎ出す予定金額は、使った資金より少ないと言うビジネスプランを立てる輩がいるだろうか。もし、事実ならその事業計画はもっと前に中止されるべきだった。一方、国際会計基準では最初から資産の割引率を使う。MRJの投資回収のリスクを考慮すると割引率は10%を超えたという。仮に10%の割引率で20年後の4000億円を、現在価値に換算すれば約600億円になる。そのため、収益計画は変えないで、現存価値をゼロとして貸借対照表に計上した。この手法で、赤字決算をせずに改定した。日本では、富士通などのように国際基準に変更した会社は多い。富士通の場合でも、英国のICLを買収した資金と簿価に大きな開きがあった。すいぶん長い間、ICLの再上場で修正すると放置されていた。結局、買収した価格と買収先の純資産の差額「のれん代」を消すためと営業利益を増やす目的で富士通は国際基準に会計基準を変更した。ただ、簿価より高く買ったものであっても、いずれはその価値に見合った資産となるのなら問題はない。しかし、価値もない会社をバカ高いお金で買収すれば、簿価と買収価格の乖離を貸借対照表に分かるようにしなければ資産の透明性が保てない。オリンパス事件など、正にそれが原因で起こった。今回のように、三菱重工は赤字を避けるため会計基準を変更した。しかし、会計基準の変更で前期より営業利益が大幅に増えた場合、詳細を知らない株主は事業が好調だったと勘違いをする。そのせいで株価が変動したりすることもある。会計基準の変更は結構だが、株主に内容を周知徹底して頂きたい。雇われ社長だと、自分の役員報酬欲しさにやったのかと穿った目で見たくなる。

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