富士フイルムと米ゼロックスの不毛な戦い
富士フイルムによる米ゼロックスの買収問題は、未だに関係はこじれたままだ。富士ゼロックスと米ゼロックスは、これまで表裏一体の関係でビジネスをしてきた。特に、米ゼロックスの実態は製造業と言うより販売会社に近い。ごたごたが続いて一番損をするのは、米ゼロックスの株主だろう。何が問題なのだろうか?これまでの経緯を振り返えれば、富士フイルムは1月末に米ゼロックス買収を発表した。富士ゼロックスは、富士フイルムが持つ75%の富士ゼロックス株を買い取る。富士フイルムはこの資金を元手にゼロックスの新株を取得し50.1%を出資する。米ゼロックスは富士ゼロックスと経営統合し、富士フイルムの傘下に入る計画だった。これは、富士フイルムが一円もお金を使わずに米ゼロックスを統合する案だ。実質的には、米ゼロックスの株は稀薄化するから、現株主の保有比率は半分になる。これに対して、物言う株主からは「米ゼロックスの価値を過小評価している」と反対をした。そして、買収の差し止めを求めて裁判所に訴えた。裁判所は訴えた側の主張を認め、買収の手続きを一時差し止める判決を下した。その結果、米ゼロックス経営陣は買収案の破棄を富士フイルムに通告した。しかし、ほとんどの株主の本音は違う。米ゼロックス関係者の分析では「株主のアイカーン氏は米ゼロックス株を高値で売り抜けたいはず。差し止め訴訟には『なんてことをしてくれたんだ』と思ったはずだ」という。ここ3年間の株価を見れば、株価は半値になった。そして、買収が発表されてからも15%も下がっている。総資産を減らしながら赤字に瀕している会社が、いつまで持ち堪えるだろうか。支配権を獲得したところで、事業の業績が回復しなければ意味がない。愚生の目には、不毛な戦いとしか見えない。業界に暗い人物が、米ゼロックス社の経営に当たれば、会社は長くは持たないだろう。これまでも、米ゼロックスは富士ゼロックスからの援助があって、ようやく青息吐息で業績を回復させてきた。そうでなければ、コダックのように倒産していただろう。いずれにしろ、複写機業界の将来は暗い。勝ち組だったキヤノン、リコー、コニカミノルタ、エプソンでも、今は生き残りに四苦八苦している。負け組だった米ゼロックスは、さらに厳しい現実に直面しているはずだ。仲間内で争う余裕などない。米ゼロックス株が紙屑になるかもしれないという危機感がないことに呆れる。
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