社会インフラが変われば、全てが激変する
愚生の話で恐縮だが、最近はパソコンでネットニュースや文献は読むが印刷された本を読むことはほとんどなくなった。一時は、図書館で本を借りて読み漁ったこともあった。辛口の浜矩子氏の著書は、すべて図書館で借りて読んだ。早期退職後に買った本と言えば、佐々木融氏の『弱い日本の強い円』くらいしかない。本を読まなくなった理由は、歳をとって集中力が切れたことより、情報が手軽にネットから入手できるからだろう。当然、本を読まないのだから、本屋にも行かなくなった。昔は、書店めぐりが愉しかった時期もあったから、隔世の感がある。そう考えると、今も頑張っている『週刊新潮』と『週刊文春』の記者には頭が下がる。本が売れないのなら、それを配本や在庫管理している「トリツギ」店などは、青息吐息だろう。昔は、戦後の「知のインフラ」を取り仕切ってきたとまで言われたのだが。その取次業界第2位のトーハン社長が、講談社社長に「自助努力の限界です。物流コストの追加負担をお願いします」と頭を下げたという。トーハンは、出版物の配送費の増加の面倒など見切れないと言ってきたからだ。どうも、出版物の輸送料金は、宅配便などに比べると何十分の1という運賃だったそうだ。そのせいで、宅配便などの急増で物流各社にとっては、本の運搬などは割に合わない仕事だった。そして、運ぶ書籍や雑誌は減っているのに、コンビニなどの配送先は急増している。そうなると、取次からの支払いは運んだ重量に比例するため、運賃は減少の一途だ。取次は全国に3000を超える出版社と、約1万2000の書店を結ぶ。出版物は、毎年8万点近く発売される。そういえば、愚生も幼い頃「少年」や「週刊少年ジャンプ」などを読んだ記憶がある。月刊や週刊で発行される大量の雑誌は、どう処分するのかと気になったこともあった。漫画雑誌や単行本漫画が出版業界の全盛期だった時代は、大量生産・大量消費が前提のビジネスモデルだった。日本特有の委託販売は、取次は出版社に成り代わって書店から代金を回収し、書店の代わりにその在庫リスクを負った。その見返りとして出版業界の主導権を握った。そのせいで、出版社も自社の書籍がいつどこで売れたかを把握できなかった。一方、書店も届いた段ボールを開けるまで中身がわからなかった。しかし、最近は愚生が本を買わなくなったように、日本の出版業界の総売上高も、1996年の2兆6563億円をピークに半分まで減少した。それなのに、出版社は売り場の確保のため、大量の出版物を作り続けている。その結果、書店で売れ残り、出版社に返品される出版物の割合は4割を超える。そして、出版市場が縮小するのに追い打ちをかけて、アマゾンドットコムなどのネット書店に需要を奪われた。読み終わった本は邪魔でしょうがないから、二度は読まないと思う本は「BOOKOFF」に売り払った。必要なら、近くの図書館で借りればよいからだ。そういう「BOOKOFF」にも、活字離れのせいか陰りが見えてきたという。社会インフラが変われば、その上に乗っかるすべての物がもう一度見直されて激変するようだ。
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