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2018年9月22日 (土)

構造変化の中でのアパレル業界

353998232 アパレル大手の三陽商会が3度目となる希望退職を募った。募集や構造改革と言っても、実情は大規模なリストラだ。指名解雇でなくとも、事実上の解雇通知に近い場合が多い。そう言う場合は、優秀な人材から退職していく。愚生もサラリーマン人生が長かったため、よく見る光景だった。他人の職場の場合は、高みの見物だ。しかし、知り合いが人材開発センターという強制収容所に行かされて、退職を強要されたと聞くと同情した。本人たちは、とても会社を許せないと言う気持ちだろう。自分が生き残るためには、他人などどうでも良いと言う浅ましさが浮かび出る。自分が安泰の時は、人の世話をするが、利益相反する場合は見殺しと言うことが多い。つくづく美学を持たないで生きる人の嫌らしさに辟易する。年寄りは後進に席を譲ると言うくらいの美学は持ちたい。愚生もそう考えて、渡りに船と思いリーマンショク後に早期退職を選択した。その後、真剣に生きざまを考えて、何とか道を切り開いてきた。そして、年金受給資格の歳になると、老後の貯えに気を配る友人を横目に、悠々自適に過ごしている。人の人生は一度で、必ず終わりがくることは避けられない。ところで、三陽商会と言えば、英バーバリーとのライセンス契約で生きてきた会社だ。中国に返還前のずいぶん昔、香港に出張した折に、同僚がバーバリーのコートを免税店で購入した時に、初めて聞いたブランド名だった。特徴は、値段が高いことと裏生地にチェックが使われているくらいだ。日本人のような、黄色いお猿さんが着ても見栄えなどしない。三陽商会は、1942年に繊維製品の製造販売業で東京・板橋で創業した。バーバリーとの取引は1970年ごろに始まり、百貨店での販売を広げた。1990年代には歌手の安室奈美恵がチェックのスカートを着用し、バーバリーブランドを代表した。バーバリーは一時期、三陽商会の売上高の半分近くを占めていた。しかし、2015年に契約が終了した後は、百貨店市場の縮小とインターネット勢台頭という構造変化にのみこまれた。2000年代に入ると「ユニクロ」や「ZARXZ」といったファストファッションが台頭した。ファーストリテイリングなどは、企画から生産まで自社で手掛ける製造小売りとして成長した。強みは、最新の流行をすぐに織り込んだ商品をつくることだ。構造変化の中で、様々なアパレルブランドを集めたネット通販「ゾゾタウン」の成功。さらに個人間の売買サイト「メルカリ」も伸びた。その激変の中で、老舗アパレルの価値が問われたが、三陽商会はネット通販などへの対応が遅れた。元社員は「バーバリーの潤沢な利益で他の赤字事業を補っていたので、新しいブランドを育てないといけないという危機意識が薄かった」と話す。その結果、希望退職の募集だ。対象は販売職を除く営業や企画などの総合職で約千人に上る。すでに2013年、2016年に計500人規模のリストラを実施した。しかし、2017年12月期の百貨店による売上高は全体の約7割を占め、百貨店依存から抜け出せていない。2018年2月、三陽商会は東京都港区の自社ビルを売却。資産を切り売りしながら利益を生みだす手法は、どんな企業であっても倒産の前兆だ。大塚家具やパイオニアもそうだ。創業者の故吉原信之氏は「とにかく人を大事に」と言い続けていたというが、後の祭りだ。

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