『夏草や兵どもが夢のあと』
アマゾン・ドット・コムの株価が26日のニューヨーク市場で急落した。企業価値を示す株式時価総額がマイクロソフトに抜かれ、米企業3位に転落した。アマゾンは25日発表した第2四半期(2008年7~9月)は最高益を更新したものの、売上高と業績見通しが市場予想に届かなかった。そのため、株価は7.8%下落し1642.81ドルだった。アマゾン株は高値からの下落率が2割を超える「弱気相場」入りが濃厚になってきた。このアマゾン株の株価下落で、愚生は『夏草や兵どもが夢のあと』という心境になった。芭蕉と違って、世俗にどっぷり浸たる愚生だが、すべてが一炊の夢と消えた哀れさには共感が沸く。今年は、東北旅行で中尊寺も訪ねた。そこは、かつて義経主従や藤原一族の者たちが功名・栄華を夢見たところだ。ただ、40年以上も前に行ったときに比べ、やたらと近年の建造物が多かった気がする。今年、トータルで、マイナスに転落しなかっただけは救いだと、自分を慰めるしかない。ところで、アマゾンは、広告事業が急成長している。決算資料では、同事業の売上高は、7~9月に前年同期の2.2倍に拡大した。最近は、多くの消費者が商品の情報をまずアマゾンで検索するようになり、企業の広告出稿先がアマゾンにシフトし始めた。サーバータの調査では、米国の消費者の半分が商品の情報を最初にアマゾンで検索する。他方、グーグルなど伝統的なサーチエンジンを使う人は36%とまりだった。推計では、2018年にアマゾンはマイクロソフトなど2社を抜き、グーグルとフェイスブックに次ぐ3位の座に就く見通しだ。こうして、広告ビジネスが事業の柱であるグーグルの領域を少しずつ浸食しつつあるようだ。ただ、グーグルの広告ビジネスの規模はアマゾンの10倍以上で、背中はまだまだ遠い。今後は、主力のクラウドサービス(AWSは46%の伸長)とともに躍進を期待するしかない。また、今回7~9月の海外事業が市場の予想に届かなかったのは、ヒンドゥー教のお祝いが今年は10~12月期に後ずれし、インドでの販売が鈍化したのが主因という。しかし、愚生はこういう眉唾話には首をかしげたくなる。決算報告から、アマゾンの利益率は投資家の高い期待に十分応えたと思う。データセンターの効率化でクラウドサービス「AWS」の営業利益率は30%を突破。デジタル広告、第三者に商品販売の場を提供して手数料を取る「サード・パーティー・セラー・サービス」など利益率の高い事業も増収を維持した。この結果、売上高総利益率は42%と前年同期(37%)から高まり、市場予想(40%)も上回った。利益率42%とは、非常に効率の良い経営だ。そう思うと株が売られた原因は他にあると穿った見方をしたい。その原因は、巷でいわれるような決算がらみではなく、ヘッジファンドが市場を上下に揺るがして、利益を得ようとしたからだろと邪推する。そう考えれば、ファンダメンタルが好調なグロース株を短期でたたき売る理由は見つからない。願望かもしれないが、年末には株価は戻るような気がする。どうも、ポジショントークになってしまった。話が変わるが、富士通は26日、総務や人事など国内の事務部門をスリム化する方針を表明した。約25%に当たる5千人を、営業やシステムエンジニアなどの職種に異動させるという。難しい場合は、退職金を割り増す早期退職を活用する。海外事業の不振で収益が伸び悩んでいる中、事務部門の効率化で利益を生み出すという。要するに、事務職の首を切って、企業活動に影響が少ない固定費を削減しようとする動きだ。これまでに半導体やパソコンなどの事業を売却したが、利益は目標を下回る水準だったのだろう。そこで、売り上げ増に直接つながる営業などに手厚く人材を配置するというが、入社早々の新人なら簡単だ。しかし、事務屋色が染み込んだ古株社員など、そんな職場転換が容易にできないことは明白だ。いずれにしても、現会長などが世の中の趨勢を見誤り、ドイツ南部にあるパソコンやサーバーの工場を長い間放置していた罪は甚大だ。一方、国内工場についても、減少している生産量に応じた体制にしたいと聞くと、「阿呆か」と言いたくなる。そうは言っても、愚生はF社の確定給付企業年金を頂いている身分のため「富士通さん」には頑張ってい頂きたい。その試案として、役員給与の50%削減などは、最もトップの意気込みをしめすものだろう。
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