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2018年10月18日 (木)

事業戦略のない研究開発は容易でない

Photo 蓮舫が事業仕分けで「1位にならなければいけないのか?」と馬鹿な質問をして、日本のスーパーコンピューター(スパコン)「京」を無駄遣いだとやり玉に挙げた。次世代スパコンの計算能力は1秒間に100京回の規模だといわれる。2014年に始動した新プロジェクトは、理化学研究所を主体に富士通が協力する形だ。前回も、富士通との随意契約はけしからんと発言する批評家もいた。彼らは、半導体の業界やビジネスの実態を何も知らないで無秩序な批判をする。これでは、少し頭の弱い蓮舫と何ら変わらない。ポスト京の計画は、ソフトバンクが買収した半導体設計会社、英アーム・ホールディングスの設計思想を採用する。前回、京の開発を担当した富士通は、米サン・マイクロシステムズのSPARCを採用した。そして、富士通は「京」のCPUをSPARC64TM IXfxとした市販モデルを、国内・海外に販売して開発資金を回収した。しかし、ビジネスとして思うような成果がでたのだろうか。儲かったというより、事業としては赤字だったのではないだろうか?実際に、日立やNECは撤退して、富士通だけが残って参加した。2020年~2022年にかけては、米国や中国でもスパコンの開発計画がある。コンピューターの性能は、CPU単体で計算性能が高いだけでは上がらない。システム全体の計算速度は、メモリーとデータをやりとりする速度などにも大きく影響する。理研や富士通が狙っている性能は、単なる速度的な性能ではなくシステム全体としての高速稼働だ。今後の開発計画にもよるが、理研と富士通は2011年に1位になった京以来、久々のトップへの返り咲きを狙っているのだろう。スパコン開発で技術力の向上に寄与するのが一番だ。しかし、研究開発費が回収できなければ事業として成り立たない。IPS細胞でも、研究費の捻出に苦労していると聞く。親方日の丸でなくなった今日、事業戦略のない研究開発は、維持・継続が容易でない時代となった。

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