デジタル経済に対応する国際課税ルール
最近、デジタル課税という言葉を耳にする。英国が2020年から大手IT(情報技術)企業に対するデジタル課税の導入を決定したという。一方、課税強化を急ぐ欧州に米国と中国が反発する。どうも、欧州と米中が対立するという変な図式だ。貿易戦争を繰り広げる米中の意見が一致するとは驚かされる。根本は、ネットビジネスの進化に対応できなくなった古い法人税制度が問題のようだ。米中のようなIT大手企業を抱える国と、IT分野に絞った課税強化を主張する欧州。お互いの利害関係が鋭く対立する。国籍企業の税逃れ対策も含めた、新しいデジタル経済に対応する国際課税ルールが求められる。19世紀に形づくられたといわれる法人税が時代遅れになったことは事実だ。しかし、すべてがネットワークにつながる世界で、各国がバラバラな課税を施行すれば混乱の極だ。ところで、ネットワークを通じて世界の利用者に直接サービスを提供する代表的な企業といえば、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)だろう。この他に、規模が大きい中国のアリババやテンセントも入れるべきかもしれない。過去のルールでは、国際展開する企業には支店など経済拠点があった。そして、そこに現地国が課税できた。例えば、日本IBMや日本オラクルなどがよい例だ。だが21世紀に入り、GAFAのように、莫大な利益を稼ぐが現地拠点がほとんどない。そのため、利用者が住む国の課税が困難となった。そして、こうしたIT大手企業が、税金が安い租税回避地を使う節税策をとったことも問題を大きくした。この国際課税の共通ルール作りや租税回避地の悪用防止などに、各国が参加する枠組みはできた。しかし、デジタル課税問題では未だに合意できていない。それに反発したEU加盟国は、IT大企業の売上高に3%に課税する「デジタル・サービス税」の導入を独自に行おうとしている。ただ、フランスやドイツなど欧州諸国のように、IT大手GAFAを狙い撃ちにしたようなデジタル分野に絞った課税強化でよいのだろうか。デジタル経済の中でも、極々限られた米国勝ち組企業をターゲットに絞った議論だ。税の補足は、中小だろう大手だろうと公平に一律に議論すべきだろう。そして、その税は突き詰めればその国の消費者が払うことになる。ボーダーレスのネットワークビジネスなのに、ボーダーで税率が違ってもよいのだろうか。各国の利害の調整は、容易でない。愚生ごとき者でも、拙速な結論で決めてしまうのは後に禍根を残す気がする。あるべき姿を、根本から議論して決めるべきだと思う。ついでに言わせれば、日本の消費税引き上げの中で、軽減税率0%とすべき電力・ガス・水道・食品などが、なぜ8%なのかを全く議論していない。こんないい加減な税制で良いのだろうか。増税するなら、後期高齢者の医療費の3割負担を優先すべきではないだろうか。選挙にしか目が向かない浅ましい政治家達に、日本をまかせて良いのだろうか。
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