「アマゾンエフェクト」の怖さが宅配業者にまで
最近、愚生宅でも頻繁に宅配便が届けられる。その理由は、インターネット通販での購買が増えたからだ。その象徴がネット通販大手のアマゾンだろう。同社の荷物量は年間で4億5000万個にも上るといわれる。アマゾンの荷物は過去、宅配便業界2位の佐川急便がメーンで引き受けていた。ところが2013年、佐川急便はアマゾンとの値上げ交渉が決裂して撤退した。その後を受けてアマゾンを引き継いだのはヤマト運輸だ。佐川急便は撤退後、取り扱い個数は減ったが、利益率は上昇した。逆にヤマト運輸は個数が格段に増加したが、利益率は減少したというから皮肉だ。ヤマト運輸のさばく宅配便全体のうち、アマゾンの荷物は1割から2割、年間約2.5億個から3億個に上る。ヤマト運輸は現在、アマゾンと独自の契約を結んでおり、アマゾンの荷物の平均配送単価は、宅配便全体の平均よりかなり安いといわれている。ヤマト運輸に限らず物流業者は人手不足だ。そのため、荷物をさばききれない場合は、配送を他社に委託する。そして、委託費が収益を圧迫する状態だという。その悪循環から、利益が増えないことでドライバーは低賃金。よって、ドライバー不足に拍車がかかる。問題の解決には、荷受け抑制のための料金の引き上げしかない。そのヤマト運輸は、過去にサービス残業の常態化による残業代未払い問題まで起こしている。深刻な問題は、日本の社会構造による人手不足だ。少子高齢化の中、1995年に約8700万人だった生産年齢人口は、2015年に約7700万人、2065年には約4500万人にまで減るという。特に、3K(きつい、汚い、嫌われる)と呼ばれる職場の人手不足は深刻だ。他方、インターネット通販の普及による宅配便の急増は止まらない。国内の宅配便などの取り扱い個数は、10年前に比べて30%近く増加している。ヤマト運輸の2016年度の個数は18億6756万個を数えた。全商取引金額における電子商取引の占める割合は5%近くに達し、宅配便サービスは今や社会インフラ化している。愚生などでも、購入する場合は、アマゾンドットコム、ヨドバシカメラドットコム、ヤフーショプを比較して、一番安くしかも早く届くものを買う。パソコンから手軽に注文できるし、指定した時間に配達される。ネット通販の利便性は有用だ。今後、足腰が立たなくなれば、ますます需要は増える。最近、ヤマト運輸などでは、再配達を減らすため、会員制サービス「クロネコメンバーズ」に登録すればLINEなどで配達時間を指示できる。いかにして再配達率を下げるかが、仕事の効率化に寄与する。ただ、いくら努力を積み重ねても、人口減少社会が続く限り、問題解消は容易でない。宅配便業はアマゾンなどに対して値上げ交渉で事態を乗り切ろうとしている。しかし、最近、宅配業者に混じって、アマゾンですと言って商品を配達する。どうも、アマゾンが独自の物流網を構築してきたようだ。そう考えると、既存の宅配業者も、うかうかしていられない。豊作貧乏ならまだ良いが、宅配そのものが依頼されなくなれば一大事だ。こうなると、「アマゾンエフェクト」の怖さが宅配業者にまで及んでいるようだ。
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