米中和解が、株価にどう織り込まれるか?
11月30日の米株式相場は反発した。米中首脳会談を前に通商問題の先行きに前向きな見方が広がったからだという。情報を探す手段のない愚生には、一部のファンド勢が流す眉唾物の噂だと思っていた。しかし、S&P500種株価指数は週間ベースで2011年以来の大幅高となった。12月1日のトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の夕食会を前に株価が押し上げられた。その会談は、両国が持続的な合意で交渉を行う中で、新たな関税を一時的に見送ると約束し、貿易戦争を激化させないことで合意した。どうも、事前にマーケット関係者へ情報が漏れていたのだろうか。米中間の貿易戦争の停止は首脳会合後の夕食会で決まったという。ホワイトハウスは首脳会談が大成功だったとし、米国が中国製品2000億ドル(約22兆7140億円)相当への関税率を10%で据え置き、来年1月1日から予定されていた25%への引き上げを先送りすると発表した。ただ、中国が構造改革に関して90日後に進展がなければ、米国が関税率を25%に引き上げる。中国は米国との貿易不均衡を縮小させるため農産品や工業製品の購入を拡大することにも同意した。どうも、大豆の輸出に高関税をかけられ、相当米国が痛かったのかと詮索してしまう。今回の首脳会談の結果は両国間の痛み分けというという感じで、米中双方とも自国向けに勝利宣言した。中国は米国からの追加関税の先送りを勝ち取る一方、米国は中国経済のより構造的な変化に向けた圧力で影響力を維持しながら、中国による農産品の購入拡大を取り付けた。中国がどこかから大豆や工業製品を購入する必要があり、それを米国に切り替えたというわけだ。愚生の関心事は、これによる株価の推移や債券の金利だ。正直言って、米中の生産者や労働者の雇用など、どうでもよい。今日の日経平均は、米国市場が開いていないため大きな上昇は望めない。日本時間の夜11時半からのニューヨーク市場の動向だろう。米中和解が好材料で、株価が大幅高になるか、情報出尽くしで下げるかは、予想がつかない。株式市場とは変なもので、「噂で買って事実で売る」ということも多いからだ。これは、投資で儲けるためのコツを示した格言だ。英語では「Buy the rumor、Sell the fact」と言い、欧米でよく使われる。株式投資を始めたばかりだと「業績を上方修正したのに、なんで株価が下がるの?」と感じるが、株式投資に限らず投資は将来を予想して売買する。決算発表日が近づくと、アナリストが各所で業績予想を発表し始める。企業の正式発表ではないのであくまでも予想・噂ということになる。このため、業績が良さそうだという噂があれば、それを期待感ととらえて将来を予想して買う。そして、買いたい投資家が増え、株価が上がり、株を買って持っている投資家が増えてくれば、次にこの投資家たちは安く買った株を高く売り抜けたい。高く売りたい投資家ばかりになった後、噂だったものが事実となった時には、すでに好情報は織り込み済みで上昇余力も少ない。今度は利益確定売りの方が多くなり株価が下がりやすくなるからだ。今回の米中和解が、そうでなければと念じたい。
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