夏草や兵どもが夢のあと
スルガ銀行と言えば、金利は高いが無担保融資に近い銀行だと思っていた。愚生などは、焦げ付き債権を含め、トータルで損益を考えて貸し出しているのだと思った。ところが、今年の1月に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社が物件所有者への賃料支払いを停止したことにより、問題が発覚した。融資を通りやすくするために、借り入れ希望者の年収や預金残高証明を改ざんしていた。つまり、社内基準を満たしていない不正融資をしていた。「かぼちゃの馬車」では、実勢相場の2倍の高値で土地を買った所有者も多かったという。この融資をしていたスルガ銀行は、いったい妥当な不動産だと思って建設資金を融資していたのだろうか。この事件は、スルガ銀の不正なしには、ここまで大問題にはならなかった。物件を売却した不動産業者だけが悪いとは思えない。愚生は借りた債務者が一番悪いと思う。なぜなら、相手が騙したとしても正しい知見があれば、その様な物件に手は出さない。うまい話には裏があると疑うのが当たり前だ。そして、貸し出し側の相当数の行員は、自己資金が偽装されている可能性を認識していたという。スルガ銀行内部のパワハラは、すさましかったようだ。ノルマが前年実績の5割増。数字ができないならビルから飛び降りろ。こんな苛烈なパワハラ下での事件だった。このような環境下では、数字の達成が一番で、他の審査書類の改ざんなど問わなくなっていた。第三者委員会の調査では、偽装が一切ない案件は100件中に1件か2件しかない。そもそも、アパートやマンション建設などは、土地を売った後に、余ったお金の運用先が困る地主や富裕層を対象にした事業だ。このデフレ下で、換金性が悪く資金回収に時間がかかる賃貸アパートやマンション建設などは、愚生には考えられない。インフレ時なら、紙幣の購買力低下の担保には役に立つ。しかし、今のデフレ時は、建設費資金から不動産屋に利益をむしり取られるのに等しい。建った賃貸アパートからは、不動産屋の利益や消費税が差し引かれる。そして、住まなくても一年経てば中古物件だ。評価額は建てた資金の半分もあればよい方だろう。1億円の物件ならグロスで10%の利回りが必要だ。つまり、物件購入者の目安は、一年の家賃設定が1000万円なければ投資しない。スルガ銀行は、資産形成で将来に備えたい給与所得者を主な顧客層としていた。要するに富裕層ではなく、貧乏な勤め人相手なため、高リスクを相殺するため3~4%という高い金利で貸した。融資返済が順調なら、群を抜く収益率になる。しかし、いったん不良債権が出れば、担保不足で大赤字だ。金融庁によると、地銀の5割が2年以上、連続で本業の利益が赤字に陥っている。そのため、「かぼちゃの馬車」の運営会社が持ってくる美味しい融資案件を断ることができなかったのだろう。いずれにせよ、不動産の売却益での家賃保証など、いつまで続くはずはない。今般の賃貸アパートと同様だ。借り上げ家賃改定時に、不採算物件が露呈する。賃貸会社の借り上げ家賃が不満なら、自分で店子を見つけるしかない。その結果、借り上げた建設会社の賃貸子会社の入居率は常に99%となる。高入居率は当り前だ。安く借り上げられない物件は切り捨てていくからだ。「かぼちゃの馬車」でも同様に、借り上げがなくなれば自分で入居者を探すしかない。シェアハウスなどは、家賃が安くなければ埋まらない。これでは、資産形成というより、負動産を背負ってしまったことになる。金額が身の丈に合っていれば、問題は小さいが・・・。
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