いつしか形相が守銭奴のように見える
産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長ら取締役の大半が辞任した。辞任理由は高額報酬が認められなかったというか、白紙になったことが原因らしい。記者会見で田中社長は、「高給批判を受けたのは誠に不本意だ」と言い放った。そして、高度な金融知識や人脈が必要な民間ファンドでは1億円を超えるような報酬は珍しくないという。この発言からすれば、辞任の原因は金の問題だったようだ。そもそも官民ファンドとは、企業に対する出資、貸し付け、債務保証、債権の買い取りなどを行うことを念頭に、国から出資などを受け、民間からの出資も交えて設立した、株式会社等の形態をとるファンドである。だから、国からの出資が95%ということは、ほとんどが国からの支出だ。国民が納める税金が裏付けであれば、毀損すれば血税が消えてしまう。そのため、官民ファンドの多くは、政府からの出資金(株式会社形態のファンドは株式)は産業投資から出資され、財政投融資特別会計投資勘定において管理されている。財政投融資特別会計は財務省の所管だ。そのため、産業革新投資機構の株主は財務大臣となる。一方、JICの業務を所管しているのは、経済産業省だ。そのため、予算と株主は財務相だが、業務を司る主務大臣は所管する経産相となる。問題の発端は、経産省は報酬が高すぎるとの批判を受けて、11月に報酬についての方針転換を伝えた。田中社長は経産省からの方針転換には応じなかったという。そのため、経済産業省は、株式会社産業革新投資機構から申請のあった、「平成30事業年度産業革新投資機構予算変更の認可について(申請)」を認可しなかった。国の資金で運営して、損益に対して責任を持たないのなら、独立行政法人や官僚機構など他の政府関係の組織の報酬と比較するのは当然だ。国から出資した二兆円を運用していて、田中社長は国には口を出すなと言う。しかし、それはあんまりだと思う。悔しさのあまりか、田中社長は、退任の席で「日本は法治国家ではない」と報道人の前で経産省を誹謗中傷した。今回、世耕経産大臣は、JICは産業競争力強化法の規律が適用される組織だ。JIC取締役会で決議した報酬基準に基づく予算であっても、その内容が不適切なら、経産大臣が認可しないことは法律上可能だ。「法治国家ではない」ということにはならないと反論する。この田中社長は、経産省の役人との打ち合わせでも、激高して席を蹴って退席したというから直情的な性格のようだ。田中社長のあまりにも非常識な態度に、経産省はそれ以来JICの交渉相手としていない。どうも、田中社長は、あおり運転の石橋被告と通ずるものがある。また、自分には孫がいるから、次の世代のために給料が1円でもやる気だったと発言していた。しかし、彼の顔は悪相だったので、愚生は嘘をつくなと言いたい。愚生に言わせれば、サラリーマン雇われ社長などカルロスゴーン容疑者と同じだ。スティーブ・ジョブズや孫正義のようなオーナー企業の社長発言を真似るなと言いたい。いずれにせよ、既に設立したファンドも米国に投資したというから、国民の金を使うには相応しくない。早々に辞任してくれたことはありがたい。本人は有能だというから、自分の金を自由に投資して儲ければ問題はないはずだ。カルロスゴーン容疑者も、自分の金で投資して17億円も損をした金融商品を日産に付け替えた。分別がつくいい歳なのに、子供じみた激高発言で悪態をつく姿を見ると、三菱UFJ銀行とはずいぶん行儀の悪い銀行だと呆れる。こういうリスクを負わないで、高給を得ようと組織にしがみ付く人は、いつしか形相が守銭奴のように見えてくる。
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