ビジネスとは、鉄砲を持たない戦争
先日、ソフトバンクの孫正義と中国アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)の出会いを知る機会があった。Amazonやアリババで創出されるeコマースは、既存の流通をネットに置きかえることで利便性と巨大企業を生み出した。しかし、このネット社会は、さらに先に進んでいるという。他社に後れをとるヤフーショッピングは、出店無料化に舵を切った。その即効性は絶大で、発表直後には出店希望者が1日で1万件を超えた。2万店だった出店者数はその後3年間で45万店へと激増した。商品数も3倍に伸びた。しかし、購入者は思ったほどは伸びなかった。愚生もそれを実感する。ヤフーショッピングを利用する場合は、価格以外に興味はない。使いやすさから言えばAmazonやヨドバシドットコムを好む。そこで、孫はアリババ集団創業者のジャック・マーに教えを請う機会に、ヤフーの出店無料化戦略を説明させた。マーからのアドバイスは、重要なのは出店者の幸せ指数だという。まずは出店者がヤフーで商売する利益を実感できないようでは、ユーザーが満足できるサービスを提供できない。そして、アリババが目指すものは、eコマースではなく次のフィンテックだという。ジャック・マーは「eコマースはそのためのガソリンに過ぎない」とも言う。タオバオなどを通じて膨大な個人データを集め、それをフィンテックに活用する。要するに、データを制する者が世界を制するからだ。そして、ジャック・マーはスマホ決済の「支付宝(アリペイ)」などの金融サービスを急速に伸ばしていった。2016年には1日の決済件数がアリペイだけで1億7500万回に達した。利用者の実年齢や購入した商品、店舗名などの情報が毎秒2000件のペースで蓄積された。その後、孫が指名したヤフー社長は、ヤフーはデータの会社になると宣言した。そのための1丁目1番地がモバイル決済だと言う。2018年秋に、楽天Pay やLINE Pay 、ドコモのd払いといったコード決済サービスから後れを取ったが、ヤフーでもQRコード・バーコードによる決済サービスのPayPay(ペイペイ)がスタートした。種種雑多なスマホ決済が提供される日本では、どれが将来本命になるのだろうか。通貨に信頼がある日本では、思ったほど電子マネーは普及していない。未だに、現金決済が主流だ。最近、ポイント還元率から、愚生宅でもスーパーマーケットでの支払いを、やっとクレジットカードにしたばかりだ。愚生が常時使用する電子マネーは、電車やバスの乗り越し清算が便利な「スイカ」くらいだ。JRのビューカードと組み合わせて使うと、自動チャージ機能があるので非常に便利だ。ところで、1999年2月、ジャック・マーは地元杭州に戻って仲間を集めてアリババを起業した。この時の様子は映像に残されており、ジャック・マーの演説は語り草になっている。「闇の中をともに進み叫ぼう。私が雄たけびを上げて突進してもあわてないでくれ。手に刀を持ち、まっすぐに進んでくれ」という義侠団の旗揚げの演説だった。愚生はビジネスとは、鉄砲を持たない戦争だと思う。ジャック・マーとはレベルは違うが、1990年前半に、IBMのSNA系ネットワークにインターネット系Tcp/ipが混入してきたとき、富士通のFNA系のネットワークシステムプリンタの行く末を案じた。仮想プリンタという概念の創出で、乗り切ったことを思い出す。あの頃の一日は充実していた。今の一年より長かったかもしれない。明日の影に怯えながら、先々が見えない基幹系ネットワーク基盤の構築に取り組んでいたことを誇らしく思い出す。思い出せば、「夏草や兵どもが夢の跡」という感がある。
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