「当たり外れは世のならい」という相場格言
正月の「フラッシュクラッシュ」(急落)で、日経ラジオの大里希世さんは、証拠金が十分の一になったと言っていた。FXや株の取引で、正月早々退場させられた投資家は多いようだ。先々週の円に対するトルコ・リラのフラッシュクラッシュと2016年1月の南アフリカ・ランドの急落には共通点がある。いずれもアジア時間の早朝、日本の連休中に起こった。そして、個人投資家のこれら高利回り通貨のロング(買い持ち)ポジションは高水準にあったことだ。そう考えれば、日本の個人投資家は、連休前に投機筋の攻撃に備える必要があるようだ。信用取引に応じるブローカーは、日本が休場でも毎日、資産を時価評価し、損失が一定水準に達すればポジションを清算しなければならない。会社ごとに若干の違いはあるが、これは総じて日本時間午前7時ごろに行われる。日本の3連休中などは、流動性の低さから、投機筋の攻撃に対して個人投資家のポジションは脆弱だといわれる。今年の日本の年末年始休暇の最終日は、1月3日だった。その日の朝、円は数分の間に米ドルに対して4%近く上昇した。きっかけは対円での豪ドルとトルコ・リラ売り注文が殺到したからだ。日本の個人投資家は、日銀の政策で金利収入の道を断たれたため、高利回り通貨へと走った。高金利利トルコ・リラのほかに日本の投資家がロング(買い立てる)にする通貨は南ア・ランドやメキシコ・ペソなどだ。金融先物取引業協会のデータによれば、豪ドルやニュージーランド・ドルも買われている。1月の消費者マインド指数(速報値)は、トランプ大統領が2016年に大統領選を制する時期あたりの低水準にまで落ち込んだ。政府機関の一部閉鎖や関税の影響、金融市場の不安定、世界的な景気減速、金融政策を巡る明確性の欠如など多くの問題が消費マインドを冷やす。宝飾品小売りの米ティファニーは18日、年末商戦が自社見通しに及ばなかったことを明らかにした。米国の小売業界は不振にあえいでおり、年末商戦に期待が寄せられたが、結果は芳しくなかった。同社発表資料によると、昨年11-12月の既存店売上高は為替による影響を除くベースで横ばいだった。年末商戦が不振に終わった主な要因として、中国人など観光客による購入が減少したほか、欧米の需要も軟調だったことを挙げた。どうも米国景気もトランプの減税効果も薄れて落ち込んできた。経済の仕組みから言っても、10年超の好景気はそろそろ限界のようだ。ただ、「当たり外れは世のならい」という相場格言の通り、確固たる理由があるわけではない。株はショック安こそ最大の買い場だ。しかし、いくらショック安が最大の買い場であっても、既に買いポジションを目一杯持ってしまえば、追い証にかかり安値で投げ売るしかない。上がり局面で売り、下がり局面で買う。簡単なようでも至難な業だ。
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