持続不能な楽観主義と不当な悲観主義
愚生は不動産や株式への投資は、比較的に長くやってきたつもりだ。この間、日本では土地バブルやデフレーションもあった。長い人生を通してみれば、オイルショックやITバブル、そしてリーマンショクも経験した。世の中は、愚生中心で回っているわけではない。当然、山あり谷ありという人生だ。ただ、株と不動産投資を比べれば、不動産の運用は、はっきり言って上手くいった。その要因としては、愚生の性格が占める部分が大きかった気がする。愚生の実家は、田舎に土地や貸家を多数持っていた。そのせいで、小さい頃からよく不動産の特徴を聞かされた。そして、両親の非効率で投資効果が悪い不動産投資を傍から見てきた。愚生の友人にも、資産を透明化することを避けるきらいがある。不動産の価値を確かめる一番良い方法は、売ってみることだ。買うのは簡単だが、自分の希望価格で売るのは難しい。つまり、不動産は自分が思っているほど、価値がない場合が多い。広告宣伝に載る土地や建物は、その価格では売れないという証拠だ。そういうわけで、投資の健全化は、定期的に売却し、資産を透明化することだと思っている。不動産は、自分の希望価格より、絶対に高く売れない。その反面、売り急いでいる人からは、買い叩けばいくらでも安く取得できる。金融緩和で金利がいくら安いからといっても、少子高齢化で不動産価格の上昇など望めない今、不必要な土地を買う人はいない。ここ三十年のデフレーションで、地方に住む人は、資産を大きく減らした。都会でも、都心三区の一部地域以外は、地価は大きく下げた。結局、不動産価格とは、買い手が決めるものだからだ。不動産は、買い手がいなければ、石ころと同じだ。こういう知見を持っていたから、比較的上手くいった気がする。一方、株はといえば、未だに下手である。上場した株は不動産と違い、常に市場で売買できる。そのため、資産の健全性は高い。ところが、なかなか上手くいかないことが多い。最近気が付いたことは、どうも銘柄選びよりも自己管理(資金管理)の方が大切だということだ。株の売買に、知識や感覚といったものは非常に大切だ。そして、経験がものをいう場合もある。しかし、ベースにある心理状態によっては勝てるトレードでも負けてしまう。また、その逆もあり得る。売買の緊張感やストレスを、どのようにコントロールするかがカギになる。そう思って、久しぶりに本を買った。4000円以上もしたから、ずいぶんな投資だ。それは、リチャード・ピーターソンの「市場心理とトレード」という本だ。この本は、不合理な群衆の集団行動、その過剰反応と過少反応を指数化して調査したことをテーマに書かれている。強い感情が投資家の合理的な分別を奪ってしまうことについて、いくつか書いてあった。事実を言い当てている言葉がある。それは、「マーケットは、持続不能な楽観主義と不当な悲観主義の間を振り子のようにスイングし続ける。」というくだりだ。投資家は、自分の性格の弱点を補う方法を念頭に置いて行わなければ、株式投資は上手くいかない。投資家が感情的になると、分析的とは言えない行動をとる。そもそも、株で勝つには、皆と反対にトレードする必要がある。こんな難しいことが容易にできるはずはない。自分の望んだ(あるいは望まない)展開になると、感情的に反応するのは人間の性だ。正常な大人でも、感覚が麻痺すれば感情が投資判断を支配するようになる。脳自体の構造のせいで、人は感情が行動に与える影響について、実際よりも軽く考えているという。結局、自らの欠点も含めて全てを公平に省みたうえで、自分自身の自己管理を向上していくことが要のようだ。まだ、最後まで読んではいないが、容易に実行することは難しそうだ。
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