アパートオーナーはLTVを知っているの?
関東郊外を車で走っていると、レオパレス21の賃貸物件をよく見ることがある。パレス(palace)とは、宮殿とか貴族・要人等の大邸宅を意味する。その企業名からして、何か胡散臭い詐欺師集団の匂いがする。このレオパレス21は、アパートの施工不良問題を抱えて、社長を含め取締役を大幅に入れ替えた。社内取締役は明日付で社長に就く宮尾文也氏を除き7人が一斉に退任する。経営の立て直しを急ぐが、建築基準法違反の疑いがある物件が従来発表済みの約1300棟に加えて、未だに相当数存在するようだ。ワンマン創業者の関与で、業績拡大が優先され、法令や施工品質を軽視する企業体質に問題があったと総括された。そのため、建築基準法を含めた法令順守の意識や、品質に対する当事者意識が欠如していたという。今後、コンプライアンスを担当する部署を設けてチェック機能を強化する。こういう話を聞くと、これまでコンプライアンスを担保する部署がなかったことになる。とすれば、法令違反があっても、内部告発するルートがなかったことになる。いずれにしろ、金利低下で運用先のない銀行とタイアップして、賃貸アパート建設業者は濡れ手に粟で儲けた。これは、サブプライムローンとどこか似ている。返済能力もない地方の地主を焚きつけて、賃貸アパートを建てさせる。酷い話になると、土地もないのに賃貸アパート建設資金を全額借りさせた事案もあるという。賃貸アパート投資のオーナーなどは、LTV(Loan to Value:総資産有利子負債比率)を知っているのだろうか。これは、所有物件の資産価値に対する負債の割合(負債比率)を指す。物件全体から見る借入金の依存度を見極める指標だ。 実際の数値は「負債額 ÷ 物件価格」という数式で表される。ただし、LTVの計算方法は時価と簿価で数字に開きがあるから要注意。実際の評価に当たっては、LTVの計算で使われる不動産価格とは、換金可能な価値でないと意味はない。要するに、建設業者の利益を上乗せした費用ではなく、実際の含み損益が入った価値だ。一般的に不動産の売買価格は、金利が低い時は高騰するが、金利が上がれば暴落することが多い。何故なら、金利上昇でお金が借りにくくなると、買い手が減るからだ。
『時価LTV = 有利子負債 ÷ (帳簿価格+含み損益) × 100』
LTVとは、どれくらいの借入金で不動産に投資しているかを示す指標だ。LTVの数値が低い場合にはローリスクローリターン、対照的に数値が高い場合はハイリスクハイリターンの傾向となる。LTVを指標として安全性を量るものに、不動産投資信託(J-REIT)がある。投資家から集めた資金で複数のオフィス・店舗ビル、共同住宅等を購入し、その運用や売却によって得られた収益を投資家に分配する商品だ。証券取引所に上場されているため、流動性が高い点が好まれる。少額での不動産投資や個人では手を出しにくい高額物件に対する投資ができる点や、不動産投資法人による運用が行われるため、購入後の手間が少ない点から人気を集める。宣伝に、自己資金0円(いわゆるフルローン)でも投資可能だという殺し文句がある。この場合、LTVは100%かというとそうではない。現実に引き渡された物件に、時価でその価値があるのかという問題もある。建設と同時にLTV150%も物件もある。銀行も借りて欲しさに債務超過を分かっていて、融資している場合も多い。こういう案件の場合は、清算価格がすでにマイナスになる。愚生の穿った目からみれば、高騰した都会の土地ならまだしも、地方でフルローン建設された賃貸アパートなどはすべてこれに当たる。サブプライムローンと同様なことが将来必ず起きると考えられる。その時は、土地バブルの崩壊の時と同様に、融資した銀行が悲惨な目に合う。同時に多くの賃貸アパート建設に投資した個人が破綻する。
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