「市場心理とトレード」という本
昨日読んでいた「市場心理とトレード」という本の中で、イングランドの自然哲学者、数学者、物理学者、天文学者で、「ニュートン力学」の確立や「微積分法」の発見をした、アイザック・ニュートンが投資で失敗した話が載っていた。1715年、財政家のジョン・ローは、流通量に限度がある金貨や銀貨に替えて、紙幣を発行してお金を増やせば景気はずっと良くなると考えた。財政難となったフランス政府に紙幣発行銀行を設立させて、納税には紙幣を使うことを強制した。フランス国民は、金貨銀貨を政府の紙幣発行銀行に持ってきて紙幣と交換して納税することになる。そういうわけで、紙幣は納税に使えるので値打ちが出て流通するようになった。そこでローは、放漫財政によってジャンク化していた国債の償還を何とかしようと考えた。アメリカにあるフランス植民地のミシシッピ地方を開発する「ミシシッピ会社」を、紙幣を発行しているフランス政府銀行と合併させた。新大陸での事業の将来性を喧伝したこともあり、イギリスから3万人もの投資家が投機のためにパリを訪れた。ローはフランスの国債保有者に、紙幣で国債を買い取るから、その紙幣で「ミシシッピ会社」の株を買うように提案した。以前なら、国債の償還には金貨が必要だったが、国債償還を「ミシシッピ会社」株で行った。ローの計画は成功し、ミシシッピ会社の株価は急上昇した。しかし、「ミシシッピ会社」の新大陸での開発という事業の実体は、何もないペーパーカンパニーであることがわかった。そして、「ミシシッピ会社」の株価は大暴落した。同じように1720年、イギリスも戦争によって膨れた債務を解消するために「南海会社」を設立した。最盛期の「ミシシッピ会社」を模倣し、南海会社も国債を全て同社が引き受けることを発表すると、やはり株価は急上昇した。皮肉にも「ミシシッピ会社」の株の大暴落で、フランスからイギリスへ資金シフトが起きていた。そのため、「南海会社」は大繁盛した。当時、リンゴが落ちるのを見て万有引力に気づいたアイザック・ニュートンもその投資家の一人だった。南海会社の潜在成長力があると思い、ほぼ全財産をこの貿易会社につぎ込んだ。その後、南海会社バブルが崩壊し、ニュートンは大半の資産を失った。こう言う話を聞くと、投資で儲ける事と、本人の思考力は関係がないということに気づく。1980年後半の土地バブルも、土地の価格は下がらないという根拠のない土地神話があった。当時、東京都区部の土地価格で、米国全土が買える時価だった。どう考えてもおかしい。それに気づけば、即座に持っている土地を売却するのが正解だった。しかし、多くの人は借金をして土地を買いあさった。その結果、土地バブルが弾けて借金だけが残った。額に汗して、小さな自宅一軒を買った勤労者には酷な話しだ。愚生の友人にも、土地の相続税軽減のためにアパート建設した。しかし、バブル崩壊で土地建物を売却しても借金が残るという。そして、江川卓や桑田真澄、高橋由伸、千昌夫など、多くの有名人が不動産購入の借金で躓いた。当時、愚生も戸建てに家の買い替えをしたが、借金軽減のため、持っていた不動産や株をすべて売却した。それが幸いして、被害は比較的に少なかった。欲の皮が突っ張っていなかったのが功を奏した。最近でも、少子高齢化で家の空室率が上昇している折に、金利が安いからとお金を借りてアパート建設をする人がいる。歴史は繰り返すとしか言いようがない。ところで、平成最後の日に、持ち株を一株残らず全て売払った。昨日、決算発表が終わったアマゾンドットコムやマイクロソフト株が下げていた。快く眺める事ができるのは幸いだ。ここで、株が押し目調整に入るなら、4000円も出して買った本は安いものだと思う。
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